未利用魚を対象にしたサブスクサービス
ベンナーズ(福岡市中央区)はサブスクリプションサービス「Fishlle(フィシュル)」を提供しています。魚の総水揚げ量のうち、およそ30%は廃棄処分されます。その多くは(1)マイナー過ぎて知られていない(2)水揚げ量が少なすぎて出荷の規格に合わない(3)多すぎて相場がつかない-といった特性を備えています。こうした「未利用魚」をターゲットにして「のせるだけ、焼くだけ、茹でるだけ」で魚料理を楽しめるのがフィシュルです。
日本食としての旨味を味わえる植物肉
グリーンカルチャー(東京都葛飾区)は植物由来の肉「Green Meat」を販売しています。植物肉の価格は100グラムあたり200円程度と、他の代替タンパク質よりも安価で消費者にも受け入れられやすく、代替タンパクの世界市場ではおよそ7割を占めています。海外の植物肉は、一般の肉に味を近づけることに力を入れていますが、グリーンミートは日本の味つけにより旨味を加えています。唐揚げ、ソーセージなども作っており、日本食としての旨味を味わえる点が特徴です。
スマホで食品ラベルを撮影しアレルギー判定
CAN EAT(東京都新宿区)は、「アレルギー管理サービス」を提供しており、食事を提供するレストラン・ホテルなどが利用しています。中央で一括管理できるチェーン店とは違って、地産地消が行われるなど店舗ごとにメニューが異なるため、各店舗で支配人や料理長がアレルギー対応を行っているからです。CAN EATのサービスでは、スマートフォンのカメラ機能で食品ラベルを撮影。自動でアレルギー判定を行い、メニューカードにアレルギー食材を記載するなどの店側の対策を支援します。
廃棄処分の食品を飲食店や消費者に届ける
バリュードライバーズ(東京都港区)は、まだ食べられるにも関わらず作り過ぎや「傷ついた」といった理由で廃棄処分される訳あり食品を、飲食店や消費者に届けるフードシェアリングサービス「tabeloop(たべるーぷ)」を提供しています。売り手・買い手とも会員制で登録するクローズドなECプラットフォームで、売り手から最大15%の手数料を取得し、その一部を飢餓撲滅のために活動している団体等に寄付しています。
多様なコラボを生み出し社会への浸透目指す
FoodTechを推進するに当たっては更なるリスクマネーの供給が必要です。世界的にはFoodTechへの投資額が増えていますが、日本は世界の1%に満たないだけに、大企業のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)などを活用してスタートアップにリスクマネーを供給することが必要でしょう。
また、FoodTechを広げていくには、需要側への意識醸成が不可欠です。日本では持続可能な消費に「関心がない」消費者の割合は他国に比して非常に高いことが指摘されています。こうした現状を打破するには消費者に対する啓発活動が不可欠となりますが、1社だけの取り組みでは困難です。食という間口の広さを活かしながらFoodTechの意義を訴求し、多様なコラボを生み出すことで社会への浸透を目指すことが今後のポイントと考えています。多くのFoodTechベンチャーを誕生させるには、こうしたサイクルの構築が不可欠でしょう。
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