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製造業の変革力を強化 デジタルマニュファクチャリングベンチャーがスマート化を支える (2/2ページ)

雑賀 光太郎
雑賀 光太郎

 サイズの軽量化が可能なフォーマット

 ラティス・テクノロジー(東京都文京区)は、3DのCAD(コンピューター支援設計)データに比べてサイズを軽量化できる「XVL」フォーマットを提供しています。モノづくりに関する情報を軽量化されたひとつのフォーマットで管理でき、高い精度で表現できるため、デザインレビューや機構シミュレーション、工程設計、作業指示、サービスドキュメントなど様々な業務で利用されています。

 AIが最適な生産計画を策定

 スカイディスク(福岡市中央区)は、AIによって生産計画を最適化する「最適ワークス」を提供しています。顧客側のデータ形式でインプットでき、製造条件を定義するだけでAIが自動プログラミングを行える仕組みです。既存のソリューションでは1カ月当たり平均で18~27人を要していましたが、1人以下での対応が可能になりました。国内製造業の 99 %以上は従業員 300 人以下の企業で大規模なシステム投資は困難ですが、最適ワークスは中小企業でも導入しやすい価格帯に設定しています。

 自律・汎用性があるロボットAI

 エクサウィザーズ(東京都港区)はAIやロボティクス、脳科学、事業開発の専門家による多国籍チームによって構成され、「本当に社会に役立つのか」といった視点を踏まえ、自律・汎用性があるロボットAIの開発に取り組んでいます。画像認識だけでは総合的な解析はできないため、触覚や音、温度、重量などをとらえ総合的に解析する技術を開発しています。具体事例としては、初見の対象物をどのようにすればつかみやすいかについて、判断可能なAIなどが挙げられます。 

 樹脂ペレットを活用した超大型3Dプリンター

 ExtraBold(東京都墨田区)は、リサイクル分も含め樹脂ペレットを材料として利用できる超大型3Dプリンター事業を展開しています。工業用に対応できる量産機は、造形時間がかかり造形可能サイズが小さいといった既存の3Dプリンターの課題を解決し、独自開発のプリントヘッドで最大1時間当たり15キロの安定した高速造形を実現します。造形可能サイズは最大で170×130×100センチです。

 ベテランのノウハウをデジタル上に再現

 ACES(エーシーズ、東京都文京区)は最先端のAI技術を活用した作業分析ソリューションを提供しています。ベテラン作業員のノウハウをアルゴリズムでデジタル上に再現し、技術伝承を実現するもので、自分の動画と手本動画を見比べることによって作業の違いを一目で把握できることが可能です。技能伝承だけではなく不正や異常行動の検出、教育コストの削減といった導入効果があります。

 COVID-19感染拡大の影響を受け、部品の調達や生産品の販売などで既存のサプライチェーンの維持が困難になっています。これに伴い先進国の企業では、需要に応じた柔軟な生産体制を目指すため、質の向上に対する意識が高まっています。デジタルマニュファクチャリングが果たす役割は大きく、ベンチャーの台頭も加速すると思われます。

総合電機メーカーにて、経営企画室、財務本部に所属し、国内および海外市場向けのエネルギー・環境、モビリティ、ヘルスケアなどに関連する新事業創成のための市場・政策・競合分析、事業企画立案、政策提言、オープンイノベーション戦略策定などに従事。2019年より現職で大企業の新規事業創出、イノベーション戦略策定およびテック系スタートアップの支援に従事。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

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