低温低圧下でのアンモニア生産により製造時のCO2排出を削減
つばめBHB(横浜市緑区)が実用化を進めているのは、世界初となるエレクトライド(電子化物)触媒を活用して、製造時のCO2排出を大幅に削減するアンモニア製法です。現在のアンモニア生産は高温・高圧下で水素と窒素を合成することから多くのエネルギーを要し、CO2を大量に排出することが課題となっています。また、一極に集中した大量生産型であることから、輸送や貯蔵に多くのコストがかかっています。同社のアンモニア製法や小型オンサイトによるアンモニアの生産は、CO2の排出削減および輸送や貯蔵などサプライチェーンにかかわるコストや環境負荷の低減にも貢献します。
温室効果ガス排出量を可視化、行動変容を促す
DATAFLUCT(東京都渋谷区)は、データを活用し消費者や企業の温室効果ガス排出量を可視化、行動変容を促すことを目的としたサービス「ClimateAction Platform:CAP」を提供しています。企業活動で発生するCO2排出量を収集、計算・管理・報告を行いオフセットできる炭素会計ツールや、クレジットカードの決済データから消費者のCO2排出量を可視化してオフセットできる機能などが特徴です。
ガソリン車をEV車に変身
AZAPA(名古屋市中区)が提供しているのはガソリンエンジンの自動車からエンジンを取り除き、電気モーターを搭載することで、電気自動車と(EV)として生まれ変わらせるコンバージョン事業です。EVはまだまだ価格が高く、簡単には購入できません。ただ、中国ではEVの軽自動車が65万円で販売されており、将来的に日本市場に参入した場合、日本の軽自動車市場が奪われる可能性があります。そのような背景の中、同社はバッテリーが適正価格になるまでの期間における同事業のニーズ拡大を見込んでいます。
サプライチェーンの脱炭素化を支援
アスエネ(東京都港区)は、再生エネルギー100%で地産地消型のクリーン電力「アスエネ」を提供しています。ブロックチェーンを活用した透明性の高い供給システムを通じ、CO2排出量の削減と地域貢献を両立させるサービスを展開しています。また、温室効果ガス排出管理クラウドサービス「アスゼロ」では、サプライチェーンの排出量データの計算・配信などを通して、法人・自治体のサプライチェーン全体における脱炭素化を一気通貫でサポートします。
植物由来のカーボンバッテリー
PJP EYE(福岡県苅田町)は植物由来のカーボンバッテリーを開発しています。同社のバッテリーはリサイクル率が100%と環境負荷を低減するだけではなく、従来のリチウムイオンバッテリ-に比べ短時間充電(20分)と長寿命(20年以上)を実現しています。現在の用途は電動自転車用ですが、風力発電にも取り組んでいます。
2021年のノーベル物理学賞を受賞する米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員は、地球温暖化の研究が認められました。これを契機に気候変動に対する関心がさらに高まるのは必至で、ClimateTechベンチャーのさらなる活躍が期待されます。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら