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次世代ファーム、ロボット、バイオ…アグリ系ベンチャーが日本の農業を支える (3/3ページ)

青砥優太郎
青砥優太郎

年間通してイチゴを生産

 イチゴを6~11月に収穫するのは難しいですが、1年を通して安定的かつ大量に生産できるシステムを提供しているのが、MD-Farm(新潟県新発田市)です。生産は完全閉鎖型の植物工場で行われ、イチゴの大きさや味、香りに至るまで消費者のし好に合わせることができる点が特徴です。また、種子と環境をコントロールすることにより、クラウドを通じた管理によって同品質のイチゴを生産できるため、海外での事業化も計画しています。

良質な土壌に変え単位収量3倍に

 塩害などで良質な土壌の畑が少なく、栽培が継続的にうまくいかないといった声は少なくありません。そうした課題を解決するためにTOWING(名古屋市南区)が開発したのが高機能ソイル技術です。微生物と有機肥料を適切な条件で管理することによって、良質な土壌を生成でき、市販の培養土に比べ単位収量は3倍になります。複数拠点でプロジェクトの実証準備を行っているほか、宇宙農業システムの開発も進めています。

トマトで農業のデファクトスタンダード

 HAPPY QUALITY(浜松市南区)はブランドトマト「Hapitoma」を展開しています。光センサーによって一粒ずつ糖度や形などを計測した上で選別されたトマトで、抗酸化作用があるリコピンは通常のトマトの2倍以上、糖度は6~10度の中から好みに合わせて選択可能です。栽培方法については、365日・24時間にわたってカメラで定点観測を行い、水やりのタイミングをAIが判断できるシステムの構築に成功しています。

タイでイチゴやメロンを生産

 日本農業(東京都品川区)は、農産物の輸出販売と海外での農業生産に携わっています。国内ではリンゴ農園と組んで収穫量が3倍になるりんご栽培を行い、「ESSENCE」というブランドで東南アジアに輸出。各国に駐在員を配置し直接販売を行うスタイルを踏襲しており、創業4年ながら日本産リンゴでは東南アジアの主要国で、シェアトップを誇っています。また、タイではイチゴやメロンを生産しています。

農薬散布を自動化

 レグミン(東京都中央区)は露地栽培向け自律走行型の作業ロボットを開発しています。多くの農家は手動で農薬を散布しており、繁忙期の作業が追い付いていないことを踏まえ、第1弾のサービスとして農薬を自動的に散布するロボットを計画しています。畝をセンサーで認識しながら自律走行し、曲がっている畝でも安定的に走る点が特徴です。種まきや農薬散布、収穫などさまざまな作業の効率化を目指していきます。

 農業の分野では担い手の減少や高齢化の進行によって労働者不足が深刻な問題となっています。このため政府はスマート農業の普及に力を入れており、AgTechを中心としたアグリ系スタートアップのさらなる台頭が期待されます。

早稲田大学教育学部英語英文学科卒。2014年株式会社光通信に入社し、営業・財務を経験後、ベンチャー企業との商品企画・開発やベンチャーファイナンスを実施。その後、グループ内の子会社取締役に就任し、海外ベンチャー企業との協業や新規事業立ち上げに従事。2019年7月デロイトトーマツベンチャーサポートに入社し、大企業の新規事業創出支援に携わる一方、アグリベンチャーのハンズオン支援にも関わる。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

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