すべてアプリで完結できるホテル
デジタルを基軸としながらもオフラインでしか味わえない体験の価値を訴求するのがオフラインの拡張です。例えばナイキがニューヨークなどで運営している「ハウス・オブ・イノベーション」というコンセプト店はアプリの利用を前提にした店舗構成になっており、自分用にカスタマイズできるスペースも用意しています。「NOT A HOTEL」というホテルは予約やチェックインなどをすべてアプリで完結させるシステムを開発しており、アナログなホテル業界の変革に挑んでいます。
個人向けD2Cブランド
個別化は個人の価値観の多様化が背景にあり、サービスの提供側もデジタルの力を活用したパーソナライズが可能になっています。例えばZOZOは事業戦略の幅を広げるため個人に着目して、D2Cブランドを立ち上げたい個人のためのプラットフォームを構築しました。
今回はコロナ後の変化をとらえたサービスを提供しているスタートアップを中心に5社を紹介します。
ランナー専用のSNSアプリ
ランナー専用のSNSアプリを展開しているのがラントリップ(東京都渋谷区)です。大森英一郎代表は箱根駅伝を経験し、あまりの過酷さに一時期は走ることを止めましたが、順位・タイム以外の部分で走る楽しみを知り起業しました。走ったログ(記録)を撮影した写真とともに残し、他のユーザーからスタンプでリアクションをもらえる仕組みで、会員数は10万人。SNS機能を導入後、1年間で23倍に成長しています。
個人間契約の家事代行サービス
タスカジ(東京都港区)は家事代行サービスを提供しています。ユーザーとハウスキーパーが個人間で契約する形態を取り入れており、1時間1500円から依頼が可能です。また、タスカジの知見にデータを組み合わせた社会実験事業プラットフォーム「タスカジ研究所」の運営も開始しました。企業と連携して、新商品の実証実験やプロモーション活動などを進めていきます。
専属ファッション“秘書”
リプレニティ(東京都港区)は「MINUTE STYLE(ミニスタ)」というファッション関連アプリの提供を開始しました。気に入った登録スタイリストと月額での専属ファッション“秘書”契約を結ぶもので、その日の天気や行動予定を踏まえ手持ちの洋服の中からトータルコーディネートを提案してもらいます。ユーザーはコーディネートに頭を悩ます必要がなくなり、スタイリストは継続的な仕事を得ることができます。
漬物を定期便で配送
SEAM(東京都新宿区)は有機野菜と、老舗専門店の酢・出汁をベースにした完全オーガニックの漬物を定期便で送るサービスを、「和もん」というブランドで展開しています。漬物市場は約3200億円と大きいものの、販売チャネルはほぼ卸・小売りモデルで変化が起きにくい状況にあっただけに、D2Cサービスへの注目が集まっています。定期ユーザーの契約率も3カ月で約70%と出足は好調です。
製品化が未定でも店頭に
ベータジャパン(東京都千代田区)は世界中のイノベーティブな製品を発見、体験、購入できる小売店「b8ta」を新宿と有楽町に開設しました。出品を希望するブランド側は約30万円を支払うことによって、接客やイベントを同店に一任します。正式な製品化が決まっていない段階の実証実験の場としても活用できます。店内にはAIカメラが設置されており、顧客の行動データを収集しブランド側にも情報が共有されます。
生活様式は今後も変化を続けることが予想され、ニューライフスタイル系ベンチャーが提供するサービスへの期待度は高まります。
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