Fromモーニングピッチ

コロナを契機に台頭 ニューライフスタイル系ベンチャーが消費行動を牽引 (1/2ページ)

浅間元平
浅間元平

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は「ニューライフスタイル」特集で、テーマ概観を説明するのはイノベーションプロデュース事業部副事業部長の浅間元平です。ライフスタイル分野や、自ら企画・製造したプロダクトを自社の媒体を活用して直接消費者に販売するD2C系のスタートアップを数多く支援しています。

COVID-19でライフスタイルに変化

 ここでのライフスタイルは、ファッション・アパレルを包含しています。COVID-19を契機にライフスタイルが変化しているので、それを踏まえたニューライフスタイルの動きを説明します。

 最も変化が生じているのは衣食住の領域です。衣ではEC化が加速しオンライン会議用衣類の売れ行きが好調で、食の分野ではフードデリバリーに対するニーズが高まっています。住関係では自宅で過ごす「おうち時間」が増えたのではないでしょうか。

 DTVSがモーニングピッチの会員企業を対象に4月に実施したアンケートでも、価値観や消費行動の変化を新規事業の機会ととらえている回答が目立ちました。

EC化率が急激に拡大

 米国ではCOVID-19を契機に消費行動のデジタルシフトが加速しています。EC化率は緩やかな右肩上がりを辿っていたのですが、2020年の第一四半期で一気に10%超の伸び率を記録しました。

 日本もECの販売が伸びており、消費行動のデジタル化が進展しています。ニッセイ基礎研究所が行ったアンケートによりますと、COVID-19後の消費行動については、デパートやショッピングモールといったリアルな場での買い物が減る一方で、ネットショッピングなどデジタル上での消費機会が増えたままで推移するといった傾向が鮮明になっています。COVID-19前の状況に戻るのは難しいと思われます。

デジタル型シェアリングに人気

 モノやサービス、場所などを多くの人と共有するシェアリングエコノミーの話に移ります。ようやく私たちの生活の中に馴染んできたものの、接触を伴うようなものは少し避けられている状況です。こうした中、デジタルのシェアリングやCOVID-19で負担が増した家事代行サービスへの人気が高まっています。

デジタルが起点

 ライフスタイルの変化に伴い、注目すべきトレンドは「ブランド」「オフライン拡張」「個別化」です。いずれもデジタルを起点としています。

 まずブランドについては、D2Cの存在感が増しています。丸井グループは複数のD2Cスタートアップと提携し、資金から人材確保に至るまでのサポートに力を入れており、D2Cのエコシステムの構築を目指しています。

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