MaaSを巡る動きは日本でも活発です。経路検索や決済・予約までを一気通貫で行えるサービスを中心に普及してきましたが、最近では医療や観光と掛け合わせたサービスが注目されています。
MaaS×医療、観光
例えばMONET Technologiesがフィリップスと共に長野県伊那市で展開している事業は、診察補助機能を車内に搭載し看護師が患者を訪問し、医師がテレビ電話を通じて遠隔診療を行っています。東急やJR東日本などは伊豆半島で、鉄道やバス、レンタカー、レンタサイクルといった交通機関をスマートフォンで検索、予約、決済し、目的地までシームレスに移動できる観光型MaaSに取り組みました。今後は住宅や買い物、介護、物流などとの組み合わせが加速し、非常に可能性が大きい領域です。また、トヨタ自動車とグーグルが構想を明らかにしているように、さまざまな都市サービスと融合すればスマートシティに発展していきます。
今回はコネクテッドやシェアリングなどの領域から5社を紹介します。
相乗りで空港シャトルタクシー
お客様を乗せずに走行するタクシーが全体の6割に達する点に着目し、プライベートではなくパブリック向けに対応したサービスを展開しているのが、NearMe(東京都中央区)です。タクシー配車アプリと連携して事前に予約。相乗りする人と目的地までの最適なルートを人工知能(AI)が判断する仕組みで、空港送迎に利用できる空港シャトルや、オフィスを繋ぐ通勤シャトルなどさまざまなサービスを展開していきます。
検出技術でMaaS市場を開拓
画像認識AIアルゴリズムの開発を行うtiwaki(滋賀県草津市)は、独自の深層学習技術を土台にした物体検出や姿勢認識、顔検出などの技術を得意としています。とくに姿勢認識の骨格検知技術は、200倍以上の高速化を実現しました。また、応用技術として新たな非接触ユーザーインタフェース技術も開発。国内外で特許を取得済みです。一連の技術をさまざまな分野に提供し、とくにMaaS分野に注力する考えです。
クラウド型タクシー配車システム
クラウド型タクシー配車システムや配車センターの委託事業を全国で展開しているのが、電脳交通(徳島市)です。タクシーの位置情報や稼働状況を一目で把握できるため、電話やアプリによって配車依頼があった場合、最適な指示を簡単に出すことができます。営業解析のモニタリングも可能になります。タクシー業界も人手不足に伴う業務の効率化が求められており、こうした課題の解決につながるシステムです。
顧客中心の観光都市を開発
scheme verge(東京都文京区)は道路や航空、海運など複数の交通機関を連携させるマルチモーダルMaaS「Horai」を活用して、顧客を中心とした観光都市の開発を進めています。顧客の動きを追跡できるという特性を生かし、都市に関わるテクノロジーやシステムを個人中心に再編するなど、次世代型のMaaSデベロッパー事業を目指していきます。
ヘリコプターのライドシェア
オンデマンド型によるヘリコプターのライドシェアサービスを提供しているのがAirX(東京都新宿区)です。ビジネスやゴルフ、観光での移動や空撮に利用できます。一般的なヘリコプターの場合、ユーザー1回当たりのチャーター料金は20万~30万円規模ですが、ライドシェアと稼働率の向上によって数万円規模に抑制できます。今後はサービスの提供エリアの拡大や、着陸地での企業連携を進めていきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって移動中の密対策が課題となっています。スタートアップのさらなる台頭により、モビリティ革命の加速が期待されます。
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