この連載と違った新聞社主催のウェビナーの話題で恐縮だが、9月15日に日経新聞ヨーロッパが行ったウェビナーで聞いた話がどうにも気になる。ここでも書いておきたい。多くの場で共有すべきテーマと考えるからだ。
聞いたのは日経新聞欧州総局(ロンドン)にいる赤川省吾編集委員の話である。9月26日に行われるドイツの総選挙に絡み、今後のヨーロッパの動向についての解説だ。7月に1回目のウェビナーがあり、9月に2か月の時間経過とともにドイツの政局がどう変化してきたかの報告である(因みに、この原稿は総選挙前の9月19日に書いている)。
7月、赤川編集委員が強調したのは、EUは環境問題と共に人権問題に注力していくはずという点だ。そして欧州の官僚や政治家から、日本はこういうテーマに消極的であると見なされていると話していた。
そして9月の説明では、これらのテーマに対する日本政府や企業の弱さの要因として、日本のしかるべき人たちにヨーロッパの左翼政党とつきあいがない、EUへのロビー活動が限定的であるとの2点を挙げていた。
環境問題と人権問題が左派の人たちに関心の強い領域であるのは、かつて「体制派(政府や大企業)」との対立という観点で認識されていることが多かっただろう。経済的に劣勢な立場にあるが良心を忠実に表現する人たち、と見られていた。
それがすべて事実であったわけでもないが、そのように見られる傾向にあり、インテリは左派を支持することを好んだ。日本でもヨーロッパでも濃淡の差こそあれ、である。