他のポイントにも通じるのですが、興味を持ち続け、自立し、考えて仕事をつくれる人は、こういった思考を持てる人で、スタートアップには心強い存在になります。
次に、「スタートアップに向いていない人」のポイントについて解説していきたいと思います。
「スタートアップに向いていない人」とは
大手企業からスタートアップに転職した人の中には、そのギャップから、入社したものの短期間で退職するといった残念な結果を迎えた人もいます。
▼福利厚生や待遇を「求めるだけ」の人
スタートアップというのは、先ほど「環境が整っていない」と表現したとおり、資金、人材などすべてのリソースが限られています。
昨今、大型の資金調達をするスタートアップは後を絶ちません。そういったニュース記事だけをみていると「スタートアップでも資金が潤沢にありそう」と思うかもしれませんが、多くのスタートアップの場合、調達した資金というのは事業を成長させるための投資資金として調達しています。要は資金使途というのは決まっているわけです。
もちろん、事業を成長させるためには優秀な人材を確保することも必要です。働きやすい環境を整えることも大切です。しかし、それだけに使うわけにはいきません。
スタートアップの場合、会社の福利厚生や待遇というのは、求めるだけでは実現できません。
「自分がこの会社に入って、事業を成長させ、その暁にはこういう福利厚生制度や待遇面を整えていこう」
社員ひとりひとりに、このようなスタンスが求められます。
最初から恵まれた環境で仕事をしたいのであれば、大手企業のほうが圧倒的に整っています。働く上で環境を確認して転職することは重要ですが、最初からそこばかりを気にする人はスタートアップに向いていないと思います。
▼裁量と責任の関係性がわかっていない人
私が、「スタートアップへの転職で残念な結末を迎えた人」の共通点だと考えるのが、「裁量と責任がセットで考えられていない人」です。
よく大手企業からスタートアップに転職する理由を聞くと「裁量を持って仕事をしたい」という回答が返ってきます。これは私も共感します。しかし、裁量を持つことは同時に責任を持つことでもあるわけです。これが意外と分かっていないというか、切り離して考えてしまっている人が少ないように思います。
経営者からすると、裁量を持って仕事をしてもらうには、それなりに責任感を持って仕事をしてもらわなくては困ります。そうでなければ、周りもついていきません。
▼過去の成功に依存する人
そして私が一番伝えたいのは、「過去の成功に依存する人」はほとんどの場合、スタートアップにマッチしないということです。
大手企業とスタートアップで如実に違うのは、「業務範囲の広さ」です。大手企業というのは人材が潤沢です。そして、サービスや業務体制も出来上がっているケースが多いです。それゆえ、一人一人が担う業務も範囲が決まっており、「ここからここまでをきっちりこなすこと」が評価の前提となります。
こういった環境に長くいると、言われたことだけをきっちりやれている自分が優秀で、評価されると感じると思います。大手企業ではそうかもしれません。
しかし、その功績を過信し、スタートアップでもその考えのまま転職してしまうと、ほとんどの場合、失敗します。