一方で、スニーカーブームなどはまさに先駆け的な事象ですが、実はスポーツウエアには黄金期が到来しているようにも感じるのです。近年開発された、高機能な繊維は、ストレッチ性が高く、通気性あるいは保温性が高く、撥水性やUV性能などはまさにスポーツウエアにこそ最適です。実際に着てみれば、競技や苛酷な環境を前提にした高性能、快適性はスポーツ以外の瞬間にも実は恩恵が多いのです。
特に、在宅勤務が多い中で、最も快適に仕事に集中できる服装を選ぶと自然とジャージやスウェットなどになってしまうというのも“あるある”ではないでしょうか。未来のビジネスマンは、スタートレッククルーのユニフォームのような体にピタッと密着し伸縮性や体感温度や湿度調整機能に優れる服を着るようになるのではないかなと漠然と思うことが多いのですが、考えてみればそんな高機能な洋服はすでにスポーツウエアの世界に実現しているわけです。
しかも素材の進化は、発色の良さにも貢献しているようで、毛や綿などの伝統的自然素材では表現できないようなビビッドな発色やパキッとした柄表現なども年々可能となっており、デザイン性の面でも急速にアパレルブランドレベルの実力を示し始めたスポーツウエアメーカーも少なからずの印象です。
スポーツとファッションの融合のコンセプトは2000年代のプラダスポーツなどに先駆的だった気がしますが、当時はとにかく高価でした。それを考えればファッションとしての実力が上がり、競技や苛酷な環境でのパフォーマンス向上までが考慮された現代のスポーツアパレルはコストパフォーマンス的にもかなり納得ができるアイテムであるように思います。
■実用的で魅力的な公式オンラインショップ
アルペンの好業績(2021年6月期の業績予想で、売上高、最終利益ともに過去最高)を見ますと、そんなスポーツアパレル大発展期に勢いあるブランド、製品をいち早く上手く取り込み、アピールした効果が大きいように思います。特にゴルフやアウトドア領域での好業績に貢献したとのことですが、両方ともまさに機能性とデザイン性を高次元に進化させることでの進化が激しいカテゴリーです。
でもそのアルペンもちょっと前を振り返れば2018年7月には上場来初の赤字に転落し、不採算店舗の閉鎖やリストラなどを行わざるを得ない苦境であったのです。むしろそんな状況はスポーツ用品アパレル量販業態の長期低迷という一般的なイメージにしっくりするくらいなのですが、それだけに好業績に意外感があるとも言えるのかもしれません。