実は、スポーツ用品店全般があまり好きではありませんでした。個人経営の小さいお店、大資本のロードサイド店全部ひっくるめて魅力的なお店に出会った記憶があまりないのです。もちろんスポーツ自体は全般大好きで、特にゴルフ、テニスなどはかなりコアなプレイヤーの部類だとの自負がありますし、用具に対しても相応のこだわりをもっていると思っています。
とすれば本来スポーツの道具やウエアをゆっくり吟味できるスポーツ用品店は楽園であって良いはずなのですが、どうにも雑然としていたり素っ気なかったりで他の業態に比べて買場としての魅力に欠けるように感じてしまうのです。
そう考えてみると、店長さんもお店のスタッフさんもいい色に日焼けしてスポーツの醍醐味に精通している分、魂はフィールドやコート、コースに置いてきましたという雰囲気がしなくもありません。少なくとも、ゴタゴタと飾り付けずとてスポーツの価値にそん色はないだろうというようなぶっきらぼうさを感じるお店が多いのです。
とは言え、そんなスポーツ用品・アパレル小売の世界も、少しずつですが確実に変化が起きつつあるように感じます。都心の目抜き通りには最先端セレクトショップもかくやというオシャレで尖ったコンセプトのスポーツアパレルのお店も目に付くようになりましたし、そもそも街でスポーツウエアを普段着として着る人を多く見かけるようになりました。
■停滞するスポーツ用品アパレル市場に芽吹く黄金期の気配
そんな中、スポーツ用品販売大手のアルペンが好業績から全従業員に総額7億円の一時金を支払ったとの報道があり、コロナ禍でしかも停滞感のある業種の典型と感じてきたスポーツ用品量販業態だけに、意外性のあるニュースと感じました。実際にスポーツ用品市場規模自体は、1兆5000億円程度で停滞気味です。(出典:矢野経済研究所)
そもそも少子高齢化の上、スマホなどとの競合でレジャー参加率全般の長期低下傾向が顕著なこともあり市場環境は、なんとも重苦しいことこの上ありません。さらには、アマゾンなどネット販売との競争やユニクロ、ABCストアなど強いプレイヤーのスポーツアパレル領域への参入なども厳しい要件です。
実際に、メーカー、小売りともに業績がパッとしない老舗も多く、不調なプレイヤーが買収されるなどしながら再編され、なし崩し的に量販大手はいくつかのグループに集約されてきたというのが近年の歴史であるように思われます。