社長を目指す方程式

喉から手が出るほど欲しい…「チームプレー」に長けた人物の見抜き方

井上和幸
井上和幸

 メンバーの見抜き方、面接時の質問の仕方

 さて、では私たち上司は、この3つの美徳を持ち合わせるメンバーを、どう見抜けば良いのでしょう。ありがたいことにレンシオーニは、メンバーが「謙虚」「ハングリー」「スマート」かを確認する質問、採用面接時に候補者がその3つに当てはまるかチェックする質問を、それぞれ提示してくれています。ご紹介しましょう。

<メンバーを評価してみる>

 これは、あなたから見てのメンバーについて回答してみていただければOKです。

それぞれ「3=いつも、2=時々、1=ほとんどない」でスコアをつけてみてください。

◆「謙虚さ」を確認する質問

 1. そのメンバーは、心からためらいなくチームメイトを褒めたり称えたりしているか?

 2. ミスをしたときに、あっさり認めているか?

 3. チームのためなら進んでレベルの低い仕事も引き受けているか?

 4. チームの達成を、自分だけでなく周りと喜んで分かち合っているか?

 5. 自分の短所をためらいなく認めているか?

 6. 深く謝罪したり、受け入れたりしているか?

合計 [    ]

◆「ハングリーさ」を確認する質問

 1. 求められたこと以上をやっているか?

 2. 会社のミッションに対して情熱を持っているか?

 3. チーム全体の成功に個人的責任を抱いているか?

 4. 時間外の仕事でも、前向きに取り組んだりしているか?

 5. 必要とあれば、厄介で面倒な作業にも進んで取り組んでいるか?

 6. 自分の担当外のことにも貢献する機会を探しているか?

合計 [    ]

 ◆「スマートさ」を確認する質問

 1. ミーティングや会話の中で、チームメートの感情を察しているように見えるか?

 2. チームの他のメンバーに思いやりを見せているか?

 3. チームメートの生活に関心を示しているか?

 4. 熱心に耳を傾けているか?

 5. 自分の言葉や行動が周りにどう影響を与えるか自覚しているか?

 6. 会話や関係に応じて、行動やスタイルを調整することに長けているか?

合計 [    ]

 合計スコアが17~18のものはその人の強みの美徳、14~16は改善すべき部分あり、13以下はその領域で改善を要する資質となります。

いかがでしたか? 自分について自己採点してみてもよいですね。

<採用面接時に、確認してみる>

◆「謙虚さ」を確認する質問の例

 ・キャリアで最も重要な達成について教えてください(「私」の達成か、「私たち」の達成話か)

 ・キャリアで最も恥ずかしかった瞬間は何ですか?最大の失敗は?その恥ずかしさや失敗にどう対処しましたか?(恥ずかしい・失敗体験を受け入れているか。それを素直に開示できるか。学びや改善実践があるか)

 ・あなたにとって大切な分野で、あなたよりも優れている人について教えてください(自分より優れた人を心から認めることができているか)

◆「ハングリーさ」を確認する質問の例

 ・人生で一番必死に取り組んだことは何ですか?(それがその人にとって喜びややりがいとなっているか)

 ・仕事をしていないとき、何をするのが好きですか?(仕事以外に時間を割くものが多すぎる人は、仕事に没入する可能性は低い)

◆「スマートさ」を確認する質問の例

 ・自分の性格をどのように表現しますか?(直ぐに具体的に話せるか。回答に悩んだり、曖昧な回答しかできない人はスマートでない可能性が高い)

 ・どんな人に一番苛立ち、そういう人にどう対処していますか?(自己認識と自己統制の確認)

 ・チームメートに思いやりを表した例を教えてください(自分がどのような共感、思いやりを大切にしているか。そうしたことが得意か不得意かの自己認識があるか否かを確認)

 どうでしょう? ぜひ控えておいて、実際の採用や異動受け入れなどの面接・面談で活用してみてください。

 ※出典『理想のチームプレイヤー』(パトリック・レンシオーニ 著/サンガ 刊)

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 謙虚でハングリーでスマートな人を見極め、採用し、育てられるリーダーは大きなアドバンテージを得ます。強固なチームを築き、社内政治や離職率を低減し、高い業績を上げることができます。あなたもチーム編成の武器として3つの美徳チェックを実施し、チームプレーヤー集団を作りましょう。

▼“社長を目指す方程式”さらに詳しい答えはこちらから

井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
経営者JPが運営する会員制プラットフォームKEIEISHA TERRACEのサイトはこちら

【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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