社長を目指す方程式

喉から手が出るほど欲しい…「チームプレー」に長けた人物の見抜き方

井上和幸
井上和幸

 3つ目の「スマート」とは、常識的に人と接すること、相手に気を払い適切に振る舞えることを指しています。チーム内に生じる関係性の微妙な変化や、自分の発言と行動の影響を直感的にうまく察知し、その後の発言や行動につなげます。気をつけるべきことは、この力をいわゆる社内政治で使ったり、自分のエゴのために発揮するタイプが存在しますので、この手の人を組織に入れないこと。入れてしまうと、チームを間違った方向へと走らせてしまいます…。

 3つの美徳が一つでも欠けると…

 上記の通り、「謙虚」「ハングリー」「スマート」の3つの美徳はチームプレーヤーに欠かせない資質ですが、<使い方>を間違えると悪しき方向に行く可能性もあります。そして間違った<使い方>は、他の2つの資質が欠落しているときに起きるのです。

 「謙虚」のみなら、感じはいいものの仕事をやり切ったり仲間と積極的な関係を築こうとはしません(歩兵)。「ハングリー」のみなら、仕事の達成への貪欲さはあるものの他を顧みません(ブルドーザー)。「スマート」のみなら好感度は高いものの、チームへの興味関心や貢献はゼロ(人たらし)。

 「謙虚」で「ハングリー」だが「スマート」でないなら、頑張るものの場を俯瞰して見れないため悪気なくやらかします(うっかりトラブルメーカー)。「謙虚」で「スマート」だが「ハングリー」でないなら、せいぜい言われたことしかやりません(憎めない怠け者)。「ハングリー」で「スマート」だが「謙虚」でないなら、狡猾に自分の利益のためだけに働くでしょう(熟練の政治家)。

 「謙虚」で「ハングリー」で「スマート」な人だけが、理想のチームプレーヤーなのです。

 あなたは周囲の人たちを見渡してみて、どのタイプが当てはまりそうでしょうか?

 レンシオーニ曰く、チームが機能不全を起こすには5つの疾患があります。「信頼の欠如」「衝突への恐怖」「責任感の不足」「説明責任の回避」「結果への無関心」です。「謙虚」「ハングリー」「スマート」に欠けるメンバーが、この5つの機能不全を克服することはできません。

 チームのメンバーたちが3つの美徳を充分に持ち合わせているときに、自分の弱さをさらしてお互いの信頼関係を築き、メンバーとの気まずい衝突を避けない。最初は反対だったチームの決定があったとしても、決定されれば献身的に取り組み、目標と現状にギャップがあると思ったら指摘して責任を追及する。そして、誰もが自身の欲望よりもチームの結果を第一に考えて行動する。

 5つの機能不全を克服した、まさにこんなチームでありたいですよね。

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