■フリーになって痛感した、会社員のメリット
西山:フリーから会社員に戻って、あらためて「会社員っていいな」と感じるポイントってありますか?
ゆうせい:給料って、最高ですね。請求書を出さなくても、毎月勝手に通帳にお金が入ってくるって……本当に「ありがとう!!!」って気持ちしかないです。だって、請求書出さなくていいんですよ?
西山:(請求書出すの、そんなにつらかったんだ……)
ゆうせい:それと、何と言ってもボーナスですよ。ボーナスって意味わかんないですよね。1年に数回「あれっ、なんでお金くれるの!!!?」って感じで(笑)。
西山:そういうのも、会社がお金をうまくコントロールしてくれているおかげなんですよね。
ゆうせい:そうそう。前に会社員だった時には「会社がどれだけ裏方で出費や労力を肩代わりしてくれているか」って、全然意識していなかった。一度フリーになって、そのありがたみに気づきました。
「年金とか健康保険って、こんなに持ってかれるの!?」って、あれは会社員からフリーになった人の誰もが驚きますよね。会社にいる時には天引きされてるから気付かないけど、「息してるだけでこんなに金がかかるのかよ」って(笑)。
それと、住民税や健康保険料などは、昨年の給与水準で金額が決まってくるものですよね。要は、会社員から独立した後にどんなに稼げてなくても、「会社員の時と同じくらい稼げてるよな」って前提で諸々のお金を徴収されるわけで。
だから、会社員からフリーになる際は「しばらく仕事がうまくいかなくても、なんとかやっていける貯金」は、絶対にあった方がいいですね。
西山:そのあたりは、事前に計算してシミュレートしておくと、安心かもしれません。
ゆうせい:あ、そうだ。あと「有給」ってスゴくないですか? 休んでても給料が発生してるって「さ、最高だっ……!!!」としか思えない。そんなことを考えてる僕は、もうフリーには戻れないでしょうね(笑)。
■「フリーランスが合うか、会社員が合うか」は、貴方の性質と、“大切にしたいこと”次第
ゆうせい:フリーの時には会社勤めの友人から「いつでも休めるからいいよね」って言われたこともあるんですけど、全然そんなことはないんですよ。フリーだと「休む=仕事をしていない=お金が発生していない」ってことになる。僕はそれが不安で、ずっと休めなかった。
西山:お話を聞いていると、やっぱりフリーランスって、向き不向きが大きいのかなと感じます。
ゆうせい:そうですね。「フリーランスが合うか、会社員が合うか」というのは、本当にその人次第です。だからこそ、ほかの人の意見を鵜呑みにするんじゃなくて、「自分にとって何が大切か」ということと真剣に向き合った上で、どちらの働き方が自分の肌に合うのか、冷静に検討するべきだと思います。
「会社員がイヤ」「いまいる場所から逃げたい」など、消極的な理由でフリーになったりするのは、きっと得策ではないです。フリーはフリーで、すんごく大変ですから。
西山:ゆうせいさんが、いま「会社員がいい」と感じられているのは、病気の経験も影響してそうだなと思いました。
ゆうせい:それはやっぱり大きいですね。病気を通して、僕は「安定」の価値を実感しました。もちろん「会社員だから絶対に安泰だ」なんて思ってはいないんですけど、ある程度の保障がある状態って、安心感があります。この安心感のためなら、多少の不自由さはコストとして払えます。
西山:それこそ「自分にとって何が大切か」と向き合った上での選択ですね。
ゆうせい:そうですね。それも、時間をかけて考えて、やっとわかってくることだなと。だから、これからフリーランスになることを検討している人は、いきなり会社を辞めて独立するのではなく、まずは複業から始めてみてもいいと思います。
少しずつ個人の仕事を増やしていく中でフリーランスの働き方をつかんで、いけると思ったら、いまの会社の仕事を業務委託に切り替えて残しつつ、独立してみると。
西山:いまは複業OKな会社も増えてきましたし、そうやってリスクヘッジしながら徐々に切り替えていくのは賢い方法ですよね。
ゆうせい:フリーランスは、やりながら自分のルールを自分でつくっていかなきゃいけない。それができる、すなわち「自律ができる人」が向いているんだろうなと、お話をしながら、あらためて感じました。
西山:今日の話を真摯に受けながら、僕らもフリーランスで働く当事者として、これからの働き方を見直していこうと思います。病気のこと、いま率直に感じていることを話してくださって、本当にありがとうございました!
(執筆:西山武志 撮影/編集:Huuuu.inc 提供元:Workship MAGAZINE『『難病を乗り越えた元フリーランスは、なぜ会社員に戻ったのか』)
【書籍『2025まで働けますか? フリーランスの進路相談室』予約受付中!】
「おもしろい仕事はどうしたらできる?」
「苦手なことと、どう付き合う?」
「仕事と子育て、両立できる?」
「メンタルの調子、どうやって保ったらいい?」
「セルフブランディング、どう取り組もう?」
検索しても答えがない、知り合いにも聞けない、ましてや自分じゃわからない……。仕事にまつわる悩みや不安はつきません。そこで、誰もが知ってるあのフリーアナウンサーやフリーランス歴40年の大ベテラン、YouTubeチャンネル登録者25万人のインフルエンサーまで、16人の先輩たちに進路相談をしてみました。
この本を読み終わるころには、あなたの不安がスッキリ解消してるかも?
これからフリーランスになろうとしている人や、フリーランスになりたての人、フリーランスとしての働き方を見直したい人など、キャリアに迷ったときに何度も読み返せるような一冊です。
【フリーランスの進路相談室】フリーランス向けウェブメディア「Workship MAGAZINE」から、副業/フリーランスについて役立つ情報をお届けします。アーカイブはこちら