やはりネーミングは大事です。
私は真逆の失敗事例として、同じ交通インフラでもかつて1987年国鉄がJRに民営化した際の、「国電」に代わる愛称として大々的に導入した「E電」という言葉がまったく定着せず死語となったことをつい思い出してしまいました。
インフラ物のネーミングは、決して分かりやすければそれで良いというものでもなく、この塩梅は本当に難しいですね。提供されるサービスの内容、時代、伝え方、もちろんネーミング自体含めなどすべての要素をピッタリと計算通りに世の中に受け入れてもらうことは至難という他ありません。TOKYO BRTはそんな第1段階をクリアしている訳ですからブランディング的には上場の滑り出しと言えると思います。
TOKYO BRTの名にふさわしい進化を期待
豊洲市場延期の影響で環状2号線の開通が遅れ、さらに新型コロナの流行の影響もありなかなかプレ運行さえ行えなかったTOKYO BRTですがようやくにして街を走りだしました。
近隣の地下鉄駅などにも動線を示す表示が多くないなど、まだまだの部分も正直多いです。とは言え、準備期間を延々ととってでも完璧なものにしなければ世の中にリリースしたがらない日本人も、まずはソフトオープンして、走りながら実のあるものに育てていくというスタイルがこれからは良いかもしれません。
BRTの取材中、お父さんに手を引かれた小さな女の子が、「ねえねえお父さん、このバスすごいバスなんだよ」と大きな声で叫んでいました。
女の子が学校に通う頃には、本当にそんな“すごいバス”になっていることを期待したいと思います。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら