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カッコから入るのも大事 TOKYO BRTプレ運行に試乗する

秋月涼佑
秋月涼佑

少子高齢化時代にピッタリの特性

 とちょっと冷たいことを書きましたが、筆者自身はTOKYO BRTを応援したいと思います。

 近年タワマンなどが建てられ開発が進められながらも、交通インフラの整備が遅れ気味の東京湾岸地域と都心を結ぶ足であるとともに、オリンピック開催時は選手村と各会場を結ぶために導入されたTOKYO BRTですが、日本の都市型交通インフラの将来モデルを提示できるかもしれないと考えるからです。

 日本全国がすでに少子高齢化に突入し、ほとんどの都道府県の人口が前年比減少する中で、わずかに東京(他は神奈川県と沖縄県だけ)だけは人口を保っていますが、要は人口減も時間の問題に違いありません。

 大きな人口を前提にした大量輸送型の巨大インフラをひたすら整備し拡大させる高度成長期型の発想では、結果インフラを維持するのもやっとということになりかねません。

 しかもすでに幾重にも整備されている東京の鉄道インフラの密度を更に上げようとすれば、すでに東京メトロの比較的新しい駅などで起きていることですが、とんでもない地下深くなどに駅を立地せざるを得なくなりつつあります。

 その点、BRTはフラットアクセスでバス停なども臨機応変に設置しやすく、明るい地上を走り喚起や騒音の面でも有利なバスというのは見直されるべき交通インフラに違いありません。何より、巨大な投資を将来負担にすることなく賄えるとこも現実的で、高度成長期と違いなかなか新しいインフラ投資に手が出ない時代の選択肢になるはずです。

 もちろん、長年刷り込まれた「時間が読めない」「狭く、振動が大きく乗り心地が不快」というバス固有の深刻なデメリットが解消されるという大前提ではあり、それがゆえにバスならぬBRTのコンセプトに誰もが期待してしまうのだと思います。

レインボーの明るく未来志向のブランディング

 ブランディングの視点で言えば、そんな世の中のBRTに対する期待感にTOKYO BRTは良く応えていると言えると思います。3案から一般意見40.7%で支持されたレインボーカラーを基調とした現在の案は「明るいイメージ」「バスを待つのが楽しみになるようなカラーリング」、「地下鉄の路線カラーにない色」ということで、確かに明るく未来志向のデザインでオリンピック施設のエリアを走るのに最適な選択だったに違いありません。

 停留施設も、大きなヒサシにガラスなど先進的なイメージ、ブランドテーマカラーのレインボーもマッチしていて未来感を訴求しています。

 何より、BRTというネーミングを主張したことが良かったと思います。ちょっと日本人には分かりにくい「Bus Rapid Transit」という言葉が、ちょっとしたマジックワードとして機能していて、新鮮さと先進感を感じさせる機能を果たしています。

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