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“ヤマトは我なり” ヤマトグループ新ユニフォームが荷物と共に届けるメッセージ

秋月涼佑
秋月涼佑

「ヤマトは我なり」の先進性

 ヤマトグループには「ヤマトは我なり」という社訓があるそうです。

https://www.yamato-hd.co.jp/company/precepts.html

 自分自身=ヤマトという意識を持つべしという、全員経営の精神を表しているとのことです。この1931年(昭和6年)に制定されたという社訓、実は私には、最も先進的なブランド戦略の考え方に聞こえるのです。

 ブランディングを考えるとき、核となるブランドコンセプトやブランドアイデンティティを伝える生活者や、ステイクホルダーとの接点を「コンタクトポイント」とか「タッチポイント」と呼びます。そう言うと何といってもメディアを活用した広告活動や広報活動が思い浮かべられることと思いますし、実際にそれらが主要な「タッチポイント」であることに変わりはないのですが、例えばお店の構えや売り場、商品、持ち帰りのためのショッパー、パンフレットなどありとあらゆるものが「タッチポイント」になり得ます。むしろ、マイナーと思われるような接点にまで、そのブランドの魂が浸透していて、ブレずに一貫した価値を訴求できればそのブランドから受ける生活者の印象はより深く、鮮明なものとなります。

 そんなブランド価値を伝えていく上で、実は死活的に重要な「タッチポイント」が「社員」「スタッフ」なのです。どんなに製品、広告、店構えがしっかりしていてもそれを企画し生産し販売する社員がブランド価値を理解体現してなければ、顧客もシラケてしまうに違いありません。

 例えば、最終製品を持たない、広告会社や商社などBtoBサービスでは、当然の大前提として「社員、スタッフ」の評価がその企業のブランド評価そのものです。ヤマト運輸も法人向け運輸サービスから民間世帯向けの“宅急便”サービスに移行した歴史からも、社員というタッチポイントの重要さに気づいていたということかもしれません。それにしても、当時不安定な立場で働く人が多かったドライバーをいち早く社員化したという逸話は、この社訓がいかに理念だけを表す建前的なものでなくて、まさに企業の盛衰をかけた確信に満ちたものであったかということを示していると感心してしまいます。

 そんなヤマトグループ最大の「タッチポイント」である社員=セールスドライバーなどが着るユニフォームが刷新されるということは、まさにヤマトグループのブランディング活動が新しいフェイズに入ることを意味するわけです。

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