ミラノの創作系男子たち

欧州のクリエイティブな街 豊富な選択肢がクリエイターを後押しする

安西洋之
安西洋之

 「もちろん、それは世界のどこでもある。都市によって規模や数に違いはあるが、分野を超えたつきあいは必ずある。それとこの数年、ハンブルクでもモビリティに関するスタートアップは増えていて、テック系の人との交流も盛んだ。でも繰り返すけど、デザインのトレンドについて言えば、ミラノが圧倒的だ。ここハンブルクは大企業が主導する街だ」

 というところから、ドイツをクリエイティブやスタートアップ文化という観点で個人的に順位をつけてもらったところ、ベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、フランクフルト、ブレーメンときた。

 これまで本連載ではミラノを舞台に書いてきたが(一度だけロンドンとの比較は書いたが)、欧州のなかでどのような位置にあるかがおよそ分かる。このような位置は、客観的な数字もさることながら、クリエイター本人が心躍る都市と主観的に感じられることが重要だ。

 メディアや研究機関が、どの都市がクリエイティブかいうランキングを出しているが、目的はクリエイティブではない人たちにはよく分からないテーマだから、いくつかの基準を編み出して比較している。しかし、クリエイター本人は、もっと嗅覚や縁で都市を選択している。あるいは仲間の評価だ。

 殊にEU市民は、圏内どの国でも自由に働ける。クリエイティブであることに忠実であろうとすれば、より誠実に生きられる選択肢が制度上はある。この選択肢の多さと実現性の高さが、トンマーゾのようなデザイナーの人生をバックアップする。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。

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