「もちろん、それは世界のどこでもある。都市によって規模や数に違いはあるが、分野を超えたつきあいは必ずある。それとこの数年、ハンブルクでもモビリティに関するスタートアップは増えていて、テック系の人との交流も盛んだ。でも繰り返すけど、デザインのトレンドについて言えば、ミラノが圧倒的だ。ここハンブルクは大企業が主導する街だ」
というところから、ドイツをクリエイティブやスタートアップ文化という観点で個人的に順位をつけてもらったところ、ベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、フランクフルト、ブレーメンときた。
これまで本連載ではミラノを舞台に書いてきたが(一度だけロンドンとの比較は書いたが)、欧州のなかでどのような位置にあるかがおよそ分かる。このような位置は、客観的な数字もさることながら、クリエイター本人が心躍る都市と主観的に感じられることが重要だ。
メディアや研究機関が、どの都市がクリエイティブかいうランキングを出しているが、目的はクリエイティブではない人たちにはよく分からないテーマだから、いくつかの基準を編み出して比較している。しかし、クリエイター本人は、もっと嗅覚や縁で都市を選択している。あるいは仲間の評価だ。
殊にEU市民は、圏内どの国でも自由に働ける。クリエイティブであることに忠実であろうとすれば、より誠実に生きられる選択肢が制度上はある。この選択肢の多さと実現性の高さが、トンマーゾのようなデザイナーの人生をバックアップする。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。