ミラノの創作系男子たち

欧州のクリエイティブな街 豊富な選択肢がクリエイターを後押しする

安西洋之
安西洋之

 「ただ、ミラノのデザイン、ファッション、コンテンポラリーアート、スタートアップ文化ということについて限れば、ロンドン、パリ、バルセロナ、アムステルダム、ベルリンと比較して先を行っているわけでもない。というか、それぞれに独自の価値と目標をもって進んでいるので、優劣の問題にはならない」

 次にぼくがトンマーゾに投げかけた質問は「ミラノにおいて可能で、ハンブルクでできないことって何?その逆は?」というものだった。

 「う~ん、トリッキーな質問だ。何に焦点をあてるかによって変わってくる。一般的なレベルで捉えるなら、全ての街は違う。デザイナーとしてのぼくの場合、ミラノの方がハンブルクよりも活発に動いているとは言える。だから、イベントや企画ものに参加する機会がミラノの方が多い。そういうネットワークがハンブルクにはあまりないのだ。とにかく、2つの都市共にさほど大きなサイズではないが、市民の要請に答えるために、仕組みがちゃんと作られているとは言える」

 おっしゃる通りだ。ぼくのアプローチがまずかった。少し範囲を限って質問を重ねてみよう。彼はサービスデザインの領域での活動が多いので、サービスデザインにおける2都市の比較だったら、どういうフィードバックをもらえるのか?

 「そういうことなら、ハンブルクの方がよく機能していると言えるかも。規模がやや小さく、スピードも遅い。ミラノのレベルではないが、日々の細かいサービスは行き届いている。公共交通、銀行、行政サービスなどだ…つまりは、ドイツの効率性が可視化されているってことなんだけど」

 それではハンブルクのソーシャルライフはどうだろう。アートギャラリーで開催されるオープニングイベントにおける分野違いの人との交流とかは。

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