この支援金は保護者に対して直接支払うのではなく、勤務先に支払われます。勤務先が対象期間中の休業中に支払った賃金の100%、ただし1日8330円を上限として支払われます。つまり、時給1000円の場合は8時間相当です。パート社員やアルバイトであれば、時給1000円前後となる対象者は多くいるでしょう。しかし、正社員の場合は時給換算するともう少し高くなりますので、時給が1500円だとすると、有給扱いで1日8時間休む場合は、企業負担は1万2000円となります。支援金が8000円強支払われても、会社の持ち出しは4000円残ります。
従って非正規社員の人が、子どものお世話のために家にいる時間の給料を保証しようという取り組みであることがわかります。正規社員の場合は、会社の負担が日額8000円強減らせる制度となります。パート、アルバイト社員の多い会社の方が使いやすい制度と言えるでしょう。
なお、業務委託等で仕事を受けている個人事業者の場合は、委託の条件はありますが、就業できなかった日について1日あたり4100円支払われます。(参照はこちら)
社長に知っておいてほしい雇用調整助成金
続いて勤務先の経営状況に関連する制度である雇用調整助成金です。新型コロナウイルス感染症特例措置となります。
・売り上げなどが下がった場合で、
・雇用の維持のために社員に休業させ、
・休業の間休業手当を支払う場合
を想定しています。いくつか条件があるので見ていきましょう。
(参照はこちら)
(1)対象となる事業主
新型コロナウイルスの影響を受ける全業種
(2)生産性指標要件
1カ月の売上が10%以上低下した場合に対象となります。ただし、感染拡大防止のため、令和2年4月1日から6月30日までの間は緊急対応期間として、1カか月の売上が5%以上低下した場合を適用要件とします。
(3)対象となる被保険者(社員)
緊急対応期間では、雇用保険の被保険者でない社員(主に週20時間未満の労働)の休業も助成金の対象となりますが、緊急対応期間以外では、雇用保険の被保険者のみ(主に週20時間以上の労働)となります。
(4)助成率
休業期間中の休業手当の額に対して、どの程度の助成金を支払うかを定めているのが助成率です。大企業では1/2(50%)、中小企業では2/3(約67%)ですが、緊急対応期間中は大企業2/3(約67%)、中小企業4/5(80%)となり、解雇等を行わない場合は、大企業3/4(75%)、中小企業9/10(90%)と上昇します。
(5)計画届
通常は事前に労働局やハローワークに提出しますが、新型コロナウイルス感染症特例措置として、5月31日までの事後提出を認めています。また、緊急対応期間中は6月30日までの事後提出を認めています。
他にもいくつか条件がありますが、2008年のリーマンショックと同等の要件緩和となっており、政府の強い危機感が表れています。
以上が、勤務先が知らないと利用できない休業補償です。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら