お金で損する人・得する人

コロナ禍で勤務先に利用してもらいたい 従業員の収入減を緩和できる仕組み

高橋成壽
高橋成壽

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、勤務先や行政の要請で自宅待機状態の人や勤務時間・勤務日数の大幅削減となった人、会社の都合で失業し収入が途絶えた人など影響が出ている人もいるでしょう。複雑で難解な社会保障制度について「所得補償」という観点で収入減少を緩和できる仕組みについて解説いたします。

 子育て世代のための小学校休業等対応支援金

 今回新たに創設された制度です。学校が臨時休校したり放課後児童クラブから利用を控える依頼があったりする状況下で、保護者として子供の世話を行う必要がある場合、有給休暇を取得させた会社に対する助成金です。従って、子供の世話のために仕事を休んだ人が国からお金をもらえるわけではありません。勤務先が社員を有給の休業扱いにすると勤務先に給与の補填としてお金が支払われる制度です。条件を詳しく見ていきましょう。(参照はこちら

 (1)臨時休業等

 新型コロナウイルスへの対応として、

(1)小学校等が臨時休業、休校した場合、

(2)自治体、放課後児童クラブ(いわゆる学童)、保育所から利用を控える依頼があった場合、

とされています。そのため、親が心配だから学校を休ませる場合 は対象外となります(※例外規定あり)。

 (2)小学校等

 小学校等の範囲についてはどうでしょう。小学校、義務教育学校(いわゆる小中一貫校)の前期課程(小学校1年生から6年生までに相当)、特別支援学校、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、幼稚園、保育所(いわゆる保育園)、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子供の一時的な預かりを行う事業、障害児の通所支援を行う施設等、が対象となっています。障害をお持ちのお子さんは、中学校、高校も対象となります。

 (3)感染した子ども

 (1)で説明した以外にも、新型コロナウイルスに感染したお子さん、発熱等の風邪症状がみられるお子さん、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触したお子さんがいる場合も、休業補償の対象となります。学校が休校にならなくても、お子さんが感染したり、感染の疑いが濃かったりするような場合で、保護者が仕事を休む場合は対象となる可能性があるということです。

 (4)保護者

 親だけではありません。親権者、未成年後見人、里親、祖父母で子供を監護する人、子供の世話を一時的に補助する親族が対象です。親だけではないという点を覚えておくといいでしょう。

 (5)有給休業の範囲

 学校の場合は平日や土曜日など、もともとの休日以外の日が対象です。春休みや日曜日などは対象外となります。放課後児童クラブなどは、本来施設が利用できる日が対象となります。お子さんが感染した場合や濃厚接触の場合は学校の休みにかかわらず、令和2年6月30日(令和2年4月5日執筆時点の情報で今後変化する可能性あり)までに取得した休業が対象となります。

 まとめると、

・お子さんが中学生未満で学校や預け先が休校状態、

あるいは

・お子さんが感染か濃厚接触した場合、

であって、

親を含めた保護者が子の世話のために6月30日までに有給休業を取得した場合、

が対象となります。条件が沢山あって難しいですね。

 子供が心配だから学校を休ませて、親も一緒に休むという状況は対象外となるのでご注意ください。

 では肝心の支援金の額はいくらになるのでしょうか?

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