この数カ月、ラグジュアリーについて考え続けている人たちに、ぼくの仮説をぶつけてきた。
「ラグジュアリーというと、フランスの19世紀のブルジョワジーに愛されたモノの歴史が語られることが多い。それはそれでアリだが、Z世代の特徴も勘案すると、アーツ・アンド・クラフツ運動をラグジュアリー史のなかで位置付けていくことが、もっと議論の対象になっていくと考えているのだが、どう思うか?」と聞いてきたのである。
結果、概ね、同意してくれる人が多い。ぼくの勘をつけた方向は悪くないらしい。よってこれをベースに、ラグジュアリーの歴史と意味をさらに整理することを考えている。
さて、そのためにも英国にまた行きたいと思うのだが、どのタイミングで英国に自由に行けるようになるのか、これはまだ何とも言えない。ミラノの図書館で資料を探すこともできないし、さらなる関係者にも会いたいが、それも叶わない。
何らかの圧政なりの時代の終焉の次に文化が花ひらく例があるが、そのような時代の雰囲気の変化があるのだろうかと夢想している今だ。少なくても、新しい欧州に期待しておこう。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。