元受付嬢CEOの視線

テレワークはサボれる それってほんとにデメリット?

橋本真里子
橋本真里子

 裁量を与えると生産性も上がる?

 さきほど、テレワークについて弊社内の声をご紹介しましたが、社員のコメントを通じて感じたことは、「自分の意思で働き方を選ぶこと」が自律性を高めるということです。これが、テレワークでも非効率にならずに、生産性を維持する・上げる動機になるんだと思いました。企業側が一方的に制度を押し付けるより、最終的な判断は各々で下してもらうことがテレワークを成功させる鍵なのかもしれません。

 そしてもう一つ、テレワークで生産性を維持するために、「普段からテレワークでの仕事の仕方に慣れること」が重要だと思います。例えば地震や感染症などの緊急時に、テレワークに慣れていない人がいきなり「数日間テレワークで対応を」と言われても、効率よく仕事ができるはずがありません。訓練だけでなく、日々の業務に少しでもテレワークを取り入れて慣れておく必要はありそうです。

 やっぱりテレワークできない人もいる、だからこそ

 テレワークは働き手が少なくなる中、活躍する人々を増やす上で有効な手段です。しかし取り入れ方次第では、会社への不満に繋がるリスクもあります。

 私の前職である受付嬢もテレワークでは対応できない業務です。同じ企業でも、テレワークで対応できる人と、業務上テレワークができない人が必ずいるのです。テレワークを導入するのであれば、特に非常時や緊急時にテレワークで対応できない人向けの行動基準を用意しておくなど、企業としてどういったフォローをするのかを事前に周知すべきだと思います。テレワーク導入が加速する中で、「出社しなければいけない人たち」を見落としてはいけません。

橋本真里子(はしもと・まりこ)
橋本真里子(はしもと・まりこ) ディライテッド株式会社代表取締役CEO
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にディライテッドを設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら

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