贅沢という非日常と、コンビニの日常性が両立するか?
そう考えると、現在ゴディバがとっているワンブランド下で、プレミアムセグメントの専売店ビジネスと同時にマスセグメント、コンビ二等での商品タイアップなどを並行させる手法が本当に成立するものなのかは予断を許しません。
もし成功すればかなり珍しい、高級ブランドが普及価格帯・ターゲットまで市場を広げた好事例になろうかと思いますが、難易度の高いアプローチであることは間違いありません。
一方で、時間軸の中でブランド自体が陳腐化していくとすれば、間違いなくハイエンドの顧客から離れて行ってしまうはずです。そんなことになってしまえば、出がらしのお茶のようになるまで消費され切った段階で、またブランドが違う資本に移るのでしょうか。
いずれにしてもブランド価値を定義するのは顧客への提供価値、逆に言えば生活者が受け取る価値観です。日本人にとってゴディバは今や多くの人にとって、少なくない思い出が込められたブランドとまでなりました。個人的には贅沢という非日常性とコンビニでも買える身近さが両立する見事な離れ技を心から期待したいと思っています。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら