でも小さいものに端正を込めたものが大好きな日本人のことです、宝石のように一粒一粒選んで贈り物にするスタイルも受け入れられて大いに繁盛しました(和菓子の文化にも重なる部分があったかもしれません)。
激変する環境、異例の進出
しかしその日本もバブルがはじけ、リーマン・ショック後の景気後退などを経てすっかり世の中の消費マインドも高級品一辺倒から様変わりしてしまいました。
一方で、かつてはただ珍しいばかりだったハイエンドチョコレート領域で、今や国内外おびただしい数のショコラティエブランドが買えるようになっています。
また、経営母体も世界的な食品コングロマリット米キャンベル資本の時代を経てトルコ資本、直近の報道ではさらにアジア系資本に移ったとのこと。ゴディバを取り巻く環境は激変しているのです。
ところが、百貨店やショッピングモールのゴディバショップを見る限り、生活者の支持を今のところ失っていないように見受けられます。かつての店頭に比べての変化としては、先述のブランドロゴは際立って大きく飾られ存在感を強くアピールしています。外国人観光客を意識してのことかもしれません。商品面では、アソートメント(詰め合わせ商品)に力を入れている印象。チョコレート以外のクッキーなど他商品も充実しています。有無を言わさぬ高級そうなパッケージやショッパーが見事です。
目覚ましいのがコンビ二への進出です。少し前からゴディバブランドのプレミアムアイス等は投入されていましたが、最近ではローソンなどでコンビニオリジナルスイーツなどとのコラボ商品も目立ちます。そういえばコメダ珈琲では、ゴディバ監修のチョコレートソフトクリームを提供中でした。
そして驚くべきなのは、コンビニ進出が従来の高級ブランドの定石とまったく異なる判断であることなのです。例えば最近で言えばルイヴィトンの親会社LVMHはアマゾンへの出店をしないことをあえて表明しました。高級品であればあるほど流通チャネルを絞り希少性を高めブランドの陳腐化を防ごうと考えるのがむしろ普通です。あるいは、いわゆるディフュージョン(派生)ブランドを外に切り出して、価格帯やブランドポジションの住み分けを図ったりもします。
実際に、かつてセリーヌ、クレージュなど欧州のクチュールブランドが日本市場でライセンス商品を出し過ぎて、トイレのスリッパまでブランドロゴが乱発されブランド価値が著しく下がり方向転換に苦心した失敗例もあるのです。