この悪魔のおにぎりが上手かったのは、「やみつき注意」というショルダーコピーを最初つけたことで、「ああ、美味しいものなんだ」と味の保証が伝わったことだと思います。というのも、生活者は食べるものに対しては存外に保守的で、たとえおにぎり1個とはいえ、大ハズシはしたくないと考えています。実際、ローソンも悪魔のおにぎりが登場するまでは、シーチキンマヨネーズが不動のナンバーワンだったとのこと。何でもかんでも変わり種に飛びついてくれるわけではないのです。
加えて、怖いのか間抜けなのかよく分からないイラストの「ほっこり感」。このちょっとしたゆるさは、食べ物のパッケージに必須なものだと言えます。過去様々なパッケージデザインも担当してきましたが、カッコよすぎて冷たく感じるパッケージの食品は全く売れないのです。
“映える”SNS時代にぴったりのネーミング
ダメ押しが、twitterなどSNSでの拡散でしょう。伝わりやすいシンプルで面白い商品名。もちろん、この怖可愛いイラストパッケージもtwitterでバズること請け合い。
今、「世の中総コピーライター時代」とでも言いたくなるほど、我々はSNSでの発信をする際に、日々簡潔でいながらも、いかに人々の関心を惹くようなサムネイルをつけるか(=いかに“映える”か)に頭をひねっています。間違いなく、ひと昔前ならコピーライターや記者ぐらいしかしなかった作業です。
「やみつき注意 悪魔のおにぎり」は、そのまま使っても“映える”ネーミングの商品だったことで、SNSで拡散されたと言えます。そして、このSNSという口コミからの認知は、目新しい食べ物に対する警戒感をほどく安心材料としても寄与したでしょう。