キャリア
嘆きとユーモア…平成経済を綴ったサラリーマン川柳を振り返る
25年には年金支給開始年齢の引き上げを背景に希望者全員の65歳までの雇用確保を企業に原則義務付ける改正高年齢者雇用安定法が施行された。
- 「人生の 余暇はいつくる 再雇用」(年金未受給者 30年)
- 「再雇用 昨日の部下に 指示仰ぐ」(白いカラス 30年)
定年を迎えたものの嘱託などの待遇で働かねばならない還暦サラリーマンの哀愁がにじむ。
安定雇用につながる定年制廃止や定年引き上げは一部の企業に限られ、厚生労働省の30年調査では、定年後の再雇用などの継続雇用制度が8割近くを占める。
- 「たたき上げ 育てた女子が いま上司」(そらみみ 28年)
50歳半ばで役職を後輩にゆずり、給与が大幅にダウンするサラリーマンも多い。
また、ここ数年、急速に広がっているのが仕事と家庭の両立、過重労働の防止を目指す動きだ。30年には働き方改革関連法も成立。ワークライフバランスを実現に向けて試行錯誤が続いている。
- 「人減らし 『定時であがれ 結果出せ』」(まろちゃん 29年)
- 「削減だ 改革起こすと 仕事増え」(一生船乗り 30年)
- 「終業後 家に帰れば 家事始業」(ワンオペ育児 30年)
的場主席研究員は「働き方が変わってきても、会社の仕事の量そのものが減るわけではない。働く女性が増えているが、女性が家事や育児の大半を担う状況も変わっていない」という。
平成最後の発表となった川柳には、業務効率化と業績向上の切り札とされる人工知能(AI)を織り込む句も目立った。
- 「ライバルが 去ってAI現れる」(ひぐらし 30年)
- 「人事異動 オレの後任 人工知能」(A.I.30年)
苛烈な社内競争を勝ち抜いてきたサラリーマンにも危機感が漂う。これまでの上司、部下、同僚をはるかにしのぐ、手ごわい相手と向き合う時代がやってきたようだ。