Fromモーニングピッチ

コロナ禍で存在感増すワークスタイル系ベンチャー 新サービスが改革を促進

谷本敦
谷本敦

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はワークスタイル特集です。

 誰もが充実感を感じながら働き仕事上の責任を果たした上で、家庭や地域生活でも人生の各ステップに応じた生き方が選択・実現できることを、ワークスタイルと定義します。

 ワークスタイルの在り方に変化

 日本ではCOVID-19を契機に、ワークスタイルを取り巻く環境は変化しています。例えばキャリア感については「企業に依存しない形で自律的なキャリアを形成する必要がある」と考える人が急増し、働く場所に関しては在宅勤務の拡大に伴いオフィスビルの空室率の上昇傾向が続いています。その反動によって、社内コミュニケーションが悪化しているといった声も強まっています。

 こうした中、「働き手視点」のワークスタイルの在り方も変化しつつあります。従来は組織に個人が帰属して、組織を通した社会価値を提供する「カンパニー・センタード」という進め方が主流でしたが、個人が組織を活用して社会に価値を生み出していく「ピープル・センタード」を目指す動きが顕在化しています。

 就業機会の選択など4つのキーワード

 また、これからの働き手視点に基づくキーワードは就業機会の選択と就業場所の自由、業務効率化、エンゲージメント(建設的な対話)だと考えています。

 就業機会の選択に注目が集まっている理由は、「企業に依存せず、自主的なキャリア形成が必要」と考えている人が増え、副業や兼業、転職を志向する動きが強まっているためです。例えばパーソル総合研究所の調査によると、COVID-19を契機に「『副業・兼業をしたい』という思いが強まった」と回答した割合は3割近くに達しました。

 就業場所については、テレワークを希望する割合が依然として高い半面、一定層がリアルな出社を希望している点を踏まえると、ウィズ・アフタ-コロナの局面では、ハイブリッド型の働き方モデルが中心になると予測しています。

 また、業務効率化を推進するためクラウドとSaaS、RPA、チャットポット、コミュニケーションツールを活用する動きが活発になると予測しています。エンゲージメントが注目されている理由は、気軽に相談する機会や帰属意識が減少している点です。

 すぐに働きたい人と事業者をマッチング

 新たな働き手視点を踏まえ、大企業とスタートアップが協業するケースも相次いでいます。すぐに働きたい人と人手が欲しい事業者をマッチングする「スキマバイトサービス」を提供するタイミーは、大手不動産会社と提携。このサービスを活用し、全国の商業施設で店舗の人手不足解消を支援します。大手外食チェーンはラフールのサービスを導入し、正社員のメンタルヘルス対策に乗り出しました。クラウドワークスはテレワークのチームワークを活性化する仮想オフィス「RISA」を手掛けるOPSIONと、業務資本提携を締結し、仮想オフィス環境の整備に力を入れています。

 今回は就業機会と就業場所、エンゲージメントという3つの領域から5社を紹介します。

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