廃棄繊維を色で分別
日本では年間で200万トンもの繊維が廃棄されていますが、リサイクル率は低く4分の3が焼却処分されています。テキスタイルデザイナーだったカラーループ(京都市下京区)の内丸もと子代表が「私はゴミを作っているのかもしれない」といった疑問を抱き、廃棄繊維を有効活用するために開発したのが「Colour Recycle System」です。具体的には廃棄物を色で分別しリサイクル繊維わたの可能性を広げました。用途はFRP(繊維強化プラスチック)や、フェルトなどで大手文具メーカーとの連携も進めています。
個人バイヤーと5分でマッチング
ウィファブリック(大阪市西区)は、アパレルの在庫廃棄問題を解決する卸売り・仕入れサイト「SMASELL(スマセル)」を展開しています。在庫を処分したいアパレルメーカーと特価商品を仕入れたいフリーマーケットユーザーなどの個人バイヤーを、最短5分でマッチングします。買い取られた服はメルカリやラクマ、ヤフオクなどのマーケットプレイスに出品されます。一般的なフリマ出品の商品と同様、「個人の未使用品」といった扱いになるため、ブランド価値が損なわれることはありません。
オンライン展示会にも対応
ターミナル(東京都渋谷区)は、ファッションのBtoBプラットフォーム「TERMINAL」を提供しています。展示会の開催や受発注管理など、ブランドとバイヤー双方の業務オペレーションをデジタル化しており、600以上のブランドが利用、バイヤーの数は2万を超えています。また、COVID-19により急増しているオンライン展示会のニーズにも対応しています。今後は商品企画から請求までの流れを統合し、バックオフィス全体の生産性向上を支援していきます。
3Dニッティング機で少量生産
3Dニッティング機はゴミを発生させず、セーターやマスク、シューズ、バッグなどさまざまな製品を少量から生産することができます。その特性を生かし、必要なものだけを作る持続可能なビジネスモデルを展開しているのがKNT365(東京都大田区)です。企画、生産、販売という全ての工程を自社で行い、再生ポリエステル糸、オーガニックコットン、生分解性の糸という環境に配慮した素材を使用します。今後は製品のブランド化を進めるのと同時に生産拠点も拡大し、2024年には100拠点を確保する計画です。
ブランドタグを付け替えて再販
価格を下げての再販はブランドの毀損につながるため、廃棄を選択しなければならないのがアパレル業界の現状です。2018年に起きた英バーバリーによる42億円分の焼却処分は、その象徴的な事例です。こうした課題を解決するのが、FINE(名古屋市千種区)が提供する再販システム「Rename」です。余った在庫を買い取り、元のブランドタグをRenameのものに付け替えRenameの商品としてブランド価格の30~80%で販売することにより、廃棄処分される新品をなくす仕組みです。
このほど開催された気候変動サミットで各国は、脱炭素化に向けた国際協力の必要性を改めて確認し合いました。ファッションは環境負荷が大きい産業なだけに、ベンチャーの活躍による環境対策の進展に期待が高まります。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら