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フードベンチャーが食の未来を創る 世界的な需要増に商機

坪井大輔
坪井大輔

食べたご飯のレビューを蓄積

 月間170万人の利用者数を誇るグルメコミュニティアプリを運営しているのがSARAH(東京都台東区)で、メニュー単位によって、検索・投稿を行える点が特徴です。また、「テイクアウトでカレーを食べたい」といった検索があれば、提携先の店舗に顧客を誘導することが可能です。投稿データを販売するサービスも行っており、口コミのキーワードを分析することにより、食品メーカーが製品開発に活かすことができます。

熟成肉・魚を短時間で作るシート

 包むだけで熟成した肉・魚を短時間で簡単に作ることができるシート「エイジングシート」を明治大学と共同で開発したのがミートエポック(川崎市多摩区)です。発酵菌を付着したレーヨン素材のシートが腐敗菌をブロックし、菌の成長過程でより美味しく変化させることができます。発酵菌の活用法として物流分野への応用やチーズへの転用、発酵大豆などを視野に入れているほか、発酵大豆を使った代替肉の生産も検討しています。

培養コスト、1万分の1を目指す

 培養コストを従来の1万分の1に抑制することで細胞培養肉の実用化を目指しているのがインテグリカルチャー(東京都新宿区)です。すでにガチョウ、牛、エビなどで細胞培養の実績があります。商業パイロットプラントの開発を進めており、2021年12月には培養フォアグラの提供を目指しています。素材メーカーや製薬メーカーとの連携による培養毛皮や培養臓器の生産などを視野に入れており、石油化学コンビナートの規模に相当する培養設備構想の実現に向け邁進しています。

 世界の人口は途上国を中心に増加しており、食料需要も増えています。中長期的な外部環境の変化に対応し、世界中の人が良質な食料を適正価格で入手、食の楽しみを享受できるようにするためにもフードベンチャーのさらなる活躍が望まれます。

千葉大学園芸学部卒。経営学修士。2008年日系大手食品メーカー入社。入社以来、生産現場、営業の業務を経験後、2012年より中国の現地法人へ出向し、約5年間中国大陸での新規事業の立ち上げ、推進に従事。2019年にデロイト トーマツ ベンチャーサポート入社後は、フード領域を中心とした一次産業領域のスタートアップ支援、大企業新規事業創出支援、また官公庁/自治体のスタートアップ海外展開支援事業運営などに従事。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

 

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