植物由来肉の販売を強化
大企業も積極的に動いています。世界有数の一般消費財メーカーである英ユニリーバは11月に発表した未来食品戦略の中で、植物由来の肉や乳製品の売り上げを2027年までに10億ユーロ規模(約1250億円)に引き上げる方針を掲げました。同社は植物肉のハンバーガーを日本でも販売しているベジタリアンブッチャーを傘下に収めており、米国の大手ハンバーガーチェーン、バーガーキングと提携しています。
国内はリスクマネーの供給がカギ
一方、フード領域のイノベーションを担う国内の大企業の間でもスタートアップ熱が高まり、ファンドを立ち上げる動きが相次いでいます。
今後、こうした動きを加速するためのポイントのひとつとなるのが、さらなるリスクマネーの供給です。日本と米国の間では食に関する投資機関の数に、かなりの開きがあります。この分野にリスクマネーが流れてこなければスタートアップの成長は厳しいだけに、日本の食の競争力に影響してくるのではと思っています。
大手食品会社のアセット開放を
日本の大手食品会社のアセットを開放することで、スタートアップが事業経験を積み重ねていくこともポイントとなるでしょう。また、他産業との接点が多いという特性を生かし、異業種間のコラボレーションを積極的に展開することも重要です。
今回はサプライチェーンに応じて、フード領域を素材、生産加工、流通、喫食体験という4つに分けており、その中から5社を紹介します。
高品質のカカオ豆を生産
高品質カカオと呼ばれる「ファインカカオ」の生産量は世界全体の5.7%に過ぎず、多くのカカオ農園では低品質なカカオ豆が栽培されています。美味しいチョコレートを届けたいという考えに基づき、事業を展開しているのがフーズカカオ(東京都渋谷区)です。従来はひとつの地域にひとつの風味しか作ることができませんでしたが、風味を作り分けられる技術を開発したことで、単一地域でも商品のバリエーションを持つことを可能にした点が特徴です。
オンライン飲み会を楽しく
法人向けのフードデリバリーサービスを提供しているのがノンピ(東京都港区)です。COVID-19の影響でオンライン飲み会が急増していることを受けて、リアル飲み会の課題をデジタルで解決する事業に力を入れています。具体的には共通の料理と飲み物を1箱にしたフードボックスを全国に届けることにより、最大で3000人までのオンライン飲み会に対応できるようにしています。オンライン飲み会専用のビデオチャットの開発も進めており、BGMを流したりする機能も考えています。