3代目がIoTプランター
スマート野菜栽培を手掛けているプランティオの芹澤孝悦代表は3代目です。初代代表が日本で初めて開発したプランターにIoT技術を導入することで、電力の自給自足によるオフグリッド栽培に取り組んでいるほか、野菜を栽培する人と野菜が欲しい人をつなぐプラットフォームを運営しています。
大企業とのオープンイノベーションの事例も相次いでいます。ミツフジは同社の生体情報取得技術とクラボウが開発した暑い環境下でのリスク管理システムを組み合わせ、作業者の健康管理と健康増進を目指しています。
今回は化学や伝統産業、教育など幅広い領域の中から5社の第二創業型企業を紹介します。
3000以上の設備・金型を開発
浪速工作所(堺市南区)の谷本和考社長は5代目です。経営を引き継いだ当時の業績は赤字と黒字の繰り返しでしたが、自社の歴史を振り返ってみると、3000以上の設備・金型を開発してきたことが分かりました。その実績を踏まえて2018年からベンチャー企業と連携し、自社製品の開発に注力した結果、誕生したのが新型ろ過装置です。今年3月にリリースして以降、多数の導入実績を残しています。
黒板活用のICTソリューション
創業100年を超える黒板メーカー、サカワ(愛媛県東温市)を率いるのは坂和寿忠社長です。2010年頃からテック企業と組んで、黒板を活用した新たな教育ICTソリューションを開発、商品化しています。そのひとつが、プロジェクターを介して黒板に投影することで、教師がスマートフォンから黒板にコンテンツを映し出すことができる、ハイブリッド型の黒板アプリです。オフィス向け商品も開発しています。
小倉織で車両内装
北九州市の名産品である「小倉織」は、江戸時代初期から織られ、徳川家康も愛用するなど日本全国で珍重されていましが、一度途絶えてしまいました。それを復活させたのが小倉織物製造(小倉北区)です。織物としては珍しい丈夫さ、和洋どちらでも合わせられる現代的なデザインを活かし、小物から服飾、インテリア、家具、建築、車両内装に至る幅広い分野で他社との提携・導入実績を残しています。
ミミズで生活習慣病対策
創業138年という歴史を誇るのがワキ製薬(奈良県大和高田市)です。脇本真之介社長が父から会社を継いだ際、会社は倒産目前でしたが、試行錯誤を経て業績を伸ばし現在に至っています。これから力を入れていく事業が、ミミズから得られる機能性成分を使ったサプリメントです。世界では生活習慣病患者の増加が課題となっており、海外展開や血液の状態を可視化できるモバイルの開発などに取り組んでいきます。
農機のEC販売を推進
2007年に家業を法人化して誕生したのが唐沢農機サービス(長野県東御市)です。2代目である唐澤健之代表は、外資系ベンチャーで培った経営ノウハウやITの知見を農業に応用し、「IT×農業」関連事業を複数展開しています。そのひとつが農機の売買を仲介する「ノウキナビ」です。農機具市場は自動車のように代理店販売がメーンで、この10年ほど横ばいですが、EC化の推進で市場の活性化を目指します。
中小企業の事業承継・後継者問題は、日本経済にとって大きな課題であるため、第二創業ベンチャーの活躍の場は広がると思われます。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら