国内
脱“キャッシュレス後進国”へ勝負の年 還元終了後の定着不透明
経産省の担当者も「今回の政策だけでキャッシュレスが普及するとは思っていない」と慎重だ。ポイント還元の対象は中小店舗のみで、大型店でキャッシュレス決済がどれだけ広がるかは見通せない。
事業者乱立も課題
昨年7月には、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の「7pay(セブンペイ)」で不正利用が発覚するなど、キャッシュレス決済への不信感も根強い。偽札が少なく現金自動預払機(ATM)が充実するなど現金の利便性が高いことも、これまでキャッシュレスが進まなかった要因といわれており、人々の長年の習慣を変えることは容易ではない。
事業者の乱立も利便性の観点からは課題だ。キャッシュレスの推進は、キャッシュレスでの支払いが当たり前の訪日外国人対策でもあったが、日本独自のサービスが多く、外国人が来日して手軽に使える環境は整っていない。
ただ、現金を維持するためのコストは年間1兆円を超えるともされ、20%弱にとどまる日本のキャッシュレス比率を上げることは経済の効率化という観点でも重要だ。京都大公共政策大学院の岩下直行教授も「日本は現金への高い信頼性やデジタル経済への不信感を持つ人が今も多く、海外のようにすぐにキャッシュレス決済比率が高まるのは難しいだろう。ポイント還元終了後も、キャッシュレス推進の取り組みは継続していくべきだ」と話している。(蕎麦谷里志)