国内

脱“キャッシュレス後進国”へ勝負の年 還元終了後の定着不透明

 消費税増税に合わせて政府のキャッシュレス決済に伴うポイント還元制度が始まってから、キャッシュレス決済に対応した店舗が着々と増え続けている。経済産業省が12日に発表する登録店舗数は100万店を超える見通しで、すでに制度の対象となる中小店舗の過半数がポイント還元対応となった計算だ。昨年は日本の「キャッシュレス元年」になったと喜ぶ関係者は多い。ただ、この勢いを持続させるには課題もあり、“キャッシュレス後進国”の汚名返上へ、今年は勝負の年になりそうだ。

 ポイント還元が始まってからキャッシュレス決済は政府の予想を超えて広がってきた。ポイント還元に必要な予算が不足する懸念から、政府は2019年度補正予算で約1500億円を追加措置するなど、キャッシュレスを推進したい経済産業省はうれしい悲鳴をあげる状況だ。

 アプリ立ち上げ面倒

 ただ、今年6月にポイント還元が終わった後も、キャッシュレス決済が使われ続けるかは不透明だ。大和総研の長内智主任研究員も「ポイント目当てで始めた人は多く、ポイントという『アメ』が無くなっても今の勢いが持続できるかが最大の焦点だ」と語る。9月からはマイナンバー(個人番号)カードを使った新たなポイント付与策も始まるが、普及率が低い同カードでどれだけの効果が得られるかは未知数だ。

 重要なのは「利用者が現金よりもキャッシュレス決済の方が便利だと実感できているか」(長内氏)だ。QRコード決済などの場合、スマートフォンでアプリを立ち上げて決済する手間を「面倒だ」と感じている人も少なくない。残された期間で、決済事業者が顧客をつなぎ留める新たなサービスを打ち出せるかがポイントとなりそうだ。

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