論風
LNG輸入開始から50年 市場発展に向け建設的議論を
供給サイドでは、インドネシア、マレーシア、ブルネイなど東南アジア諸国が重要な供給国だが、そこに豪州やカタールなど中東が加わり、徐々に供給多様化が進んだ。カタールが長く世界トップのLNG供給国の地位を保ってきたが、最近は豪州と米国が輸出を拡大、そこにロシアが加わり、今やトップ争いは4つ巴状況となっている。その他、カナダやモザンビークなど新興輸出国も現れ、供給拡大が進んだ。
まさに、この50年は日本、世界ともにLNG市場拡大の歴史であった。世界の天然ガス貿易という観点で、かつてLNGは貿易全体ではマイナーで、パイプライン貿易が圧倒的だった。しかし、LNG貿易拡大で、現在、貿易の3割を超え、今後の拡大によって、2030年頃にはLNGがパイプライン貿易を上回る、との見方も出ている。
さらに、かつてLNGはその巨大な初期投資を回収するため、売り手と買い手の間で長期契約を結び、固定的・安定的な関係を構築、価格決定方式としては原油価格連動方式が中心となった。しかし、時間の経過とともに新たな価格方式や柔軟な契約条件が追求され、短期・スポット取引の増加で今では全取引の3割強を占めるに至った。