海外情勢

インドネシア、首都移転決定 巨額費用に反発も過密回避へ大なた 

 【シンガポール=森浩】インドネシアが首都を現在のジャカルタからカリマンタン島(ボルネオ島)の東カリマンタン州に移転させることを決定した。建国以来の“悲願”だった首都移転に乗り出したジョコ大統領。反発と戸惑いも生まれる中、ジャカルタへの一極集中に終止符が打てるか注目される。

 「政治、経済の中心としてジャカルタに掛かる負担は重い」。ジョコ大統領は8月26日の演説で移転の意義を強調した。

 圏域人口が3千万人を超えるジャカルタは、交通渋滞や大気汚染が長年の課題となってきた。渋滞が生む年間の経済的損失は約100兆ルピア(約7500億円)。違法な地下水採取が原因とされる地盤沈下も深刻で、2050年には市域の35%が水没するとのデータもある。

 新首都は政治の中心となり、経済は引き続きジャカルタが中心となる見通しだ。インドネシアには1500社を超える日本企業が進出するが、日本大使館筋は「(首都移転の)大きな影響は今のところ考えにくい」としている。

 移転構想はスカルノ初代大統領の時代から持ち上がっていたが、巨額の費用などから実施できずにいた。新首都の利用開始は24年を見込んでおり、同年に任期満了を迎えるジョコ氏は首都移転を自らのレガシー(遺産)としたい意向だ。

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