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中国、代替フロンHCFC削減へ エコ型エアコン普及に力
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上海市内にある家電量販店のエアコン売り場 中国環境保護省が代替フロンのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の削減を進めている。
中国国営新華社通信によると、HCFCやフロン、ハロンは冷媒や発泡剤としてエアコンなど冷却設備を中心に使用されてきた。中国は世界最大のHCFC生産・消費国で、2009年の生産量は全世界の供給量の70%超を占めている。
中国は1991年、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」に加盟。2013年までにHCFC含有物質の生産、消費を09~10年の平均水準にまで引き下げ、15年までに同水準の10%を削減、30年までに補修目的に少量を保有するほかは全廃することが求められている。
同省環境保護対外協力センターの肖学智・副主任によると、過去十数年間にわたる中国経済の急成長で、HCFCの使用量は当初のほぼ10倍にまで増えている。
中国は議定書加盟から約20年間で代替製品や技術の開発を進め、クロロフルオロカーボン(CFC)やハロンなどのオゾン層破壊物質10万トン余りを削減。この数字は発展途上国の全削減量の半数を占める。
現在、中国が議定書の約定を履行する上で最も重要な課題はHCFCの削減だ。同省は各界に向けて削減行動への参加を呼びかけている。
広東省深セン市では4月末、削減に向けたコミュニティー宣伝活動をスタート。エアコンや冷蔵庫など、HCFCを含有する家庭用冷却設備の使用を減らすよう訴えた。今後は北京市など他都市でも同様の宣伝活動を実施する考えだ。
このほか同省はエコ型エアコンの普及に力を入れており、今後は代替冷媒としてR-290(プロパン)を使用したエアコンが主力になる可能性が高い。
R-290エアコン生産ラインは15年までに18本完成する予定で、すでにメーカー11社が同省同センターとの間で生産ライン改造契約を結んでいるほか、4社が契約に向けて協議を進めている。
11年、議定書実施のための多国間基金執行委員会は中国政府の第1段階HCFC削減計画を承認し、2億7000万ドル(約267億円)の資金援助を承諾した。
肖副主任は「HCFCの削減は、中国の産業構造調整や国際的地位の向上にプラスに働く。各界は環境保護や経済、技術分野における持続可能な発展に向けてこのチャンスをつかむべきだ」と訴えている。(上海支局)