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尖閣などへ中国「ファイブ・ドラゴン(五龍)」新たに30隻投入へ 米国防総省報告
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【ワシントン=佐々木類】米国防総省は6日、中国の軍事行動に関する年次報告書を発表した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる中国の挑発行為に初めて言及し、中国国家海洋局など5つの海洋執行機関「ファイブ・ドラゴン」の公船を使って圧力をかけ、それを海軍艦船が後方から支援していると指摘。ファイブ・ドラゴンは、2015年までに新たに30隻を投入するとの見方を示した。
報告書は、中国がインドやベトナム、東南アジア諸国と領土問題をめぐって武力を行使してきた過去の経緯を列挙。尖閣諸島については、周辺大陸棚の天然ガスや原油獲得をねらって領有権を主張し、一方的に採掘していることを日本が批難していると伝えた。
ヘルビー国防次官補代理は6日の記者会見で、「公船を使って挑発を繰り返しているのが中国軍の最近の特徴だ」と述べた。
報告書はまた、昨年9月に就航した中国海軍初の空母「遼寧」について、3~4年後に実戦配備が可能とし、配備前には東、南シナ海で示威行動なども可能との見方を示した。
欧米の軍事専門家の間では、駆逐艦隊など空母群の実戦配備には10年以上かかるとされてきたが、報告書は、より早く実現する可能性を示唆したものだ。昨年11月には、少なくとも2機の艦載機J15が離着艦訓練を実施。上海で2隻目の空母を建造と報道されたことを中国当局が否定したことに言及した。
中国軍増強の目的については、「地域紛争に短期間で勝利するため長期的かつ包括的な戦力の近代化を図っている」と指摘。米空母の接近阻止・領域拒否を具体化するため、短中距離弾道ミサイルや対艦弾道ミサイルの増強に加え、電子戦への対応強化を図り、サイバー空間における軍事力を強化しているとした。
2011年1月に初めて姿を現したステルス戦闘機J20(殲20)は、エンジン開発など克服すべき技術上の課題をたくさん抱えており、実戦配備は18年以降になると指摘。また、J20より後に開発された新型ステルス戦闘機J31はJ20より小型とし、対地攻撃用のステルス製無人攻撃機の開発を見据えているとした。
中国政府が今年3月、1140億ドル(約11兆2860億円)と発表した軍予算については、実態は1350億ドル~2150億ドルになるとの分析を示した。