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注目集める4~6月期GDP 景気の上げ潮維持、消費増税実現のかぎに
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政府が8月に発表する4~6月期の国内総生産(GDP)成長率が注目を集めている。2014年4月に消費税率を8%に引き上げるかどうかを最終判断する際の前提指標になるからだ。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で円安と株高が進み、企業や消費者の景況感が上向きつつあり、景気は上げ潮ムード。この基調を維持できるかが、消費増税実現のかぎを握る。
政府は10月をめどに、消費税率引き上げの可否を最終判断する。この判断に際し4~6月期のGDPを前提にするのは、7~9月期分(11月中旬公表)が間に合わず、最新指標になるため。昨年8月に成立した消費税増税法では努力目標として、物価変動を除いた実質2%の成長率を明記しており、一つの目安として、実質2%成長が基準になる見込みだ。
12年10~12月期のGDP改定値は実質で前期比0.04%増、年率換算で0.2%増となり、3四半期ぶりにプラス成長に転換。米国向け輸出の回復から自動車を中心に企業の生産が持ち直した。今年1~3月期もプラス成長が確実視されている。
続く4~6月期も回復が続くとの期待は強い。「12年度補正予算による公共投資の拡大に加え、輸出の回復による生産増が見込まれる」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)からだ。同期の実質GDP成長率について、日本総研の山田久シニアエコノミストは「年率換算で3%程度伸びる」と予想。SMBC日興証券など他の民間シンクタンクの調査でも、軒並み年率でプラス2~3%前後と予測され、増税の条件を満たす可能性が高い。
もっとも、足元のGDPが伸びていても、個人消費などの回復が遅れるなか、実際に増税が行われれば景気の腰を折りかねないとの懸念は残る。1997年4月に消費税率が3%から5%に引き上げられた際には、実質GDPが96年度のプラス2.7%から、97年度にはプラス0.1%と一気に落ち込んだ経緯がある。
このため、安倍首相は今月27日の参院財政金融委員会で「景気に悪影響を及ぼすということになってしまっては(消費増税で税収増を目指すという)本来の趣旨に反する」と述べ、4~6月期のGDPを最大限重視しながらも、物価状況を示すGDPデフレーターなどの経済指標も総合的に勘案して決める考えを示した。
ただ、消費増税は待ったなしの状況だ。日本の債務残高は約1000兆円で、GDP比では200%と、債務危機に揺れるギリシャ(160%)を上回り主要国で最悪の水準にある。増税の判断が先送りされれば、借金の依存度が高まり、財政健全化の目標として掲げる「基礎的財政収支」のGDPに占める赤字を15年度に10年度比で半減、20年度に黒字化する目標は遠のく。
消費増税は、1%の引き上げで2.7兆円の税収効果になると試算され、14年4月に8%、15年10月に10%に上がれば財政健全化に向け一歩前進する。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「経済危機でもない限り消費増税は行うべきだ」と主張している。