【試乗インプレ】「離陸するの?」バイクのような怒涛の加速 ホンダ・シビックTYPE R
更新前回のシビックセダン/ハッチバックに続き、ハイパフォーマンスモデル、TYPE R(以下タイプRと表記)に試乗した。注目ポイントは、標準車のハッチバックとの価格差が170万円ともう一台クルマが買える金額に見合う走行性能と乗り味が実現しているかだ。320馬力を誇るVTECターボエンジンの韋駄天ぶりと同時に、実用車としての側面がスポイルされていないかなどを、伊豆半島縦断200キロのドライブで試してきた。(文・写真 小島純一)
「FF最速」の座争う伝説的モデル
新型はシビックのタイプRとしては5代目にあたる。
サーキット指向のリアルスポーツカーでありながら、ハッチバックをベースとして高い実用性を兼ねる、いわゆるホットハッチだ。
1.4トン弱の車重に対し、専用に設計した2リッター4気筒の直噴VTECターボエンジンは320馬力、トルク40.8キロを発生、パワーウエイトレシオは4.3kg/PSと圧倒的なパワーを持つ。組み合わされるミッションはクロスレシオの6速のMTだ。
ニュルブルクリンクのタイムアタックにおいてFF最速マシンの座をめぐり、ルノー・メガーヌR.S.やVW・ゴルフGTIなどの欧州の名だたるモデルと熾烈なトップ争いを続けている生ける伝説的なモデルである。
先代は台数限定だったが、今回の新型はカタログモデルであり、購入資金さえ用意できれば誰でも買える。
正面はガンダムにしか見えない
まずはメガーヌやゴルフのハイパフォーマンスモデルと比べると、外観に現れた本気度が桁違いだ。
横に張り出した前後フェンダーやフロントスポイラー、そして何よりリアハッチ上に鎮座する大型のリアスポイラーが、周囲を走るクルマたちを威嚇する。
シルエット同様、顔つきもアグレッシブで、ガンダム顔傾向の強いホンダ車の中にあって、タイプRの顔はまさに決定版と言えるガンダム度である。特に今回試乗した白ボディーの正面はもうガンダムにしか見えない。前バンパー両サイドの縦に並んだ四角い穴なんか、「もうわざとやってるでしょ」というレベルだ。
白ボディーを購入し、カッティングシートやステッカーでガンダムルックをコンプリートするユーザーが出るに違いない。是非とも2015年に限定販売されたトヨタの「シャア専用オーリス」と競演していただきたい、と思うくらいだ。
フルバケットシートの功罪
内装に目を移すと、安っぽさはないものの、標準車のハッチバックに対して特段高級さを感じるような仕立てではない。