【試乗インプレ】「大きな軽」と侮った私が間違ってました ダイハツ・トール(後編)
更新運転支援機能をはじめ、生活者目線で性能・機能が充実しているダイハツ・トール。後編では、最大のセールスポイントである多彩なシートアレンジを中心に、スタイルや使い勝手を見ていく。(文と写真:Web編集室 小島純一)
軽を真似しなくても…と思ったが
全体のシルエットは背高軽ワゴンと相似形。写真で見ているだけだと、特に真横からの眺めでは軽自動車にしか見えない。
軽自動車は規格で上限サイズが決められているから、その枠内でスペース効率を上げようとどんどん四角く、背が高くなっていった経緯がある。生活の足としては車内はできるだけ広いほうが「大は小を兼ねる」からユーザーから歓迎されるわけで、当然の流れと言える。
しかし小型車(5ナンバー)車の規格はもっとサイズに余裕があるわけで、当然デザインの自由度も高い。なにも軽の真似をしなくても…というのが、ニュースリリースや広告を初めて見たときの率直な感想だった。しかしこの第一印象は、後述するように室内に入った瞬間にあっさり覆る。
最近は上級ミニバン風の大型メッキグリルをおごったフロントマスクがトレンドのようで、今回試乗したトールの「カスタム」というグレードも、トヨタのアルファードやノアを彷彿させる顔つきになっている。ヘッドライトやフォグランプにもLEDが奢られる豪華仕様。こういう“背伸び”した仕立ては、3列シートまでは必要ないとか、予算や運転スキルの都合から大きなミニバンは購入候補にしないけれど、小さいなりにある程度の高級感も欲しいというユーザー心理に訴えるだろう。ちなみに標準グレードは現行のトヨタ・カローラ顔。
オーソドックスで使いやすい配置
室内を前席から見ていこう。内装デザインは奇をてらわずオーソドックスにまとめたもの。基本的な運転操作と空調の操作に限れば、初めて乗っても迷いなく使うことができるはず。メーターが自光式なのも嬉しいポイント。
インパネ中央最上部のサブディスプレイは時計やカレンダー、燃費状況などの車両情報を表示できるが、この位置に設置した意味があまり感じられない。この程度の機能であればメーター内に統合してしまって、その分ナビの設置スペースを上にずらした方がシンプルだったと思う。