【試乗インプレ】マツダ・ロードスターRFはRX-8以来の大人の“クーペ”(後編)
更新前回、車名のRFはリトラクタブル・ファストバックの頭文字だと書いた。つまりハードトップを格納可能なクーペという位置付けであり、オープンカーであるロードスターをベースとしながら、RFはオープンカーではない。あくまでクーペが基本形態であって、付帯機能として屋根を格納できるクルマというのが正しい捉え方なのだ。今回はRF=クーペという前提で筆を進めていく。(文と写真:Web編集室 小島純一)
派生車種特有の取って付けた感は皆無
全長と横幅の数値が同じにもかかわらず、パッと見の印象は不思議とオープンにしたロードスターよりもコンパクトに見える。屋根を開放することで、キャビンまわりの輪郭がぼやけるロードスターに対し、ハードトップでアウトラインが明確に示されるRFのほうが凝縮感が高いということだろうか。ボンネットはより長く、キャビンはよりタイトに見える。いわゆるロングノーズ&ショートキャビンという、往年の名車ジャガー・Eタイプやトヨタ・2000GTに代表されるスポーツカーの伝統的スタイルである。
後部ピラーを含む格納式ハードトップまわり以外のディテールは、インチアップされた4つのタイヤ&ホイールを除いてロードスターと同じであり、2台並べて見れば兄弟車種であることは誰にでもすぐわかる。しかしRF単体で見ると、派生車種特有の取って付けた感が全くなく、ロードスターとは完全に別のクルマとしての印象が強く残る。
一般に、クーペや2ドアコンパクトカーをベースに屋根を格納できるように仕立てたコンバーチブルやカブリオレといったタイプのクルマは、ほとんどの場合屋根を閉じた状態ではどうしても不自然な造形になってしまう。もともとハードトップありきのデザインを後から部分変更するからバランスが崩れるのだ。
ロードスターも先代はRHT(リトラクタブル・ハードトップ)のモデルがラインナップされていたが、幌屋根同様に後部ピラーなしで完全に開ききるメリットの半面、屋根を閉じたスタイルはやはり少し不格好になってしまっていた。