【試乗インプレ】大人向け乗り味のマツダ・ロードスターRFでしまなみ海道をゆく(前編)
更新これまでホンダ・S660、マツダ・ロードスター、ダイハツ・コペンとオープンカーをいくつか取り上げ、この1月にもやはりオープンのアバルト・124スパイダーを取り上げたばかりなのだが…すみません、今回もオープンでございます。ということで、現在マツダの各工場で鋭意生産中のピッカピカの新型車、ロードスターRFを広島~松山間で試乗してきた。(文と写真:Web編集室 小島純一)
三兄弟の最後に生まれた“お兄ちゃん”
昨年3月23日、ニューヨークモーターショーで鮮烈にデビュー。翌24日にはオリジナルのロードスターが、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」の2冠を1車種で同賞史上初めて受賞したこともあって、多くの日本のクルマ好きにとって、この両日を歴史的な一日として記憶に留めている方も多いだろう。
皆さんとっくにご承知とは思うが、一応このクルマの成り立ちをおさらいしておく。
ロードスターRF(以下「RF」と表記)は、幌屋根のロードスター(以下「ロードスター」と表記)をベースに、米国仕様に準じて2リッター自然吸気エンジンを搭載、ブレーキ、ホイールを大径化。幌屋根部分を後部ピラーを残したいわゆる「タルガトップ」型の電動格納式ハードトップとしたロードスターシリーズの上級車種である。アルミ骨格の幌屋根から、アルミ、スチール、樹脂を適材適所で混合採用し、重量増を抑えつつ、クローズド状態での静粛性向上を図った設計となっている。
車名の「RF」はリトラクタブル・ファストバック(格納できる屋根を備えたクーペ)の頭文字から名付けられた。ちなみにファストバックとはクーペの一形態で、横から見たときに、キャビンとトランクの間に明確な段をつけず、屋根からボディー後端に向かってなだらかな線でデザインされたものを指す。
ロードスター、124スパイダー、RFの順でリリースされたシリーズの“末っ子”ながら、醸し出す雰囲気はいちばん大人っぽいしっかりものの“長男”というイメージ。
プラス500ccの余裕
今回の試乗コースは、マツダの広島本社工場がある広島市内から広島高速、山陽道、しまなみ海道を経由、四国は愛媛県松山の道後温泉を目指す往復400キロ超の行程。
本社工場で広報車をお借りして市内の一般道を走り出す。ベースのロードスターが搭載する1.5リッターエンジンに対し、馬力で27、トルクは約5キロアップした2リッターエンジンは、走り始めてすぐにトルク増がはっきり感じられた。低回転で早めにシフトアップしても力不足な感触は皆無で、ゆったり走ることができる。