【試乗インプレ】走っても、停まっていても人目を集める アバルト・124スパイダー(後編)
更新鋭い加速に締まった足回り。前編で着目したその走りは、ロードスターの辛口版という印象だったが、写真を見てもおわかりいただけるとおり、中身に負けずデザインもホットだ。今回は外観・内装・使い勝手にフォーカスし、最後にロードスターとの比較をまとめる。(文と写真:Web編集室 小島純一)
「これイタリア車?」料金所のおじさんも反応するオーラ
昨年ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝いたマツダ・ロードスター。女性的で流麗な曲線が何度見ても惚れ惚れするほど美しいデザインだが、兄弟車であるこの124スパイダーは、ロードスターとは対照的にマッシブで力強いルックスを備えている。
フロントマスクからして違う。薄目のクールな醤油顔(ヘビ顔という評価もあるようだが)のロードスターに対し、こちらは目鼻立ちくっきり。ヘッドランプのまわりをLEDのポジショニングランプがぐるりと縁取るぱっちりお目々にハニカムグリルがやる気満々スパルタン風味。個人的には面構えが日産のフェアレディ240Zを彷彿とさせ、ノスタルジーをかき立てられた。新しいのになぜか懐かしさを感じる不思議なデザインだ。
後ろ姿も、ロードスターは後端がキュッと絞り込まれたセクシーな印象を与えるのに対し、絞り込みが控えめで、横長のテールコンビランプと相まってワイド&ローのどっしり感が強調されている。
実はボディサイズも微妙に異なっていて、全体にほんの少し大きめ。特に全長は約14センチほど長くなって、4メートルを少し超えている(本家は3メートル台)。いずれにしろ4メートル前後のコンパクトサイズではあるので、運転するうえではこの差は全く気にならない。
ディテールを見ていくと、これまた結構違う。
ボンネット、トラックリッド、左右の前フェンダーにアバルトのサソリエンブレムが鎮座。ボンネット上に盛り上がる筋肉を思わせる2つのバルジがその下に隠れるホットなターボエンジンの存在を主張する。