【試乗インプレ】世界が認めた名車の異母兄弟 アバルト・124スパイダー(前編)
更新冬のドライブは何と言ってもオープンカーである。意外に思われるかもしれないが、屋根を開けていても、耳から下は温かい「走る露天風呂」。空気も乾燥しているし、お日様も穏やかだから実は一番快適に走れるのが冬なのだ。まだ試乗していない手頃なオープンカーの新型車はないものか、と各メーカーのサイトを漁っていると…ありました!ということで、新年一発目は赤黒ツートンのイタリア車で幕開け。(文と写真:Web編集室 小島純一)
マツダ・ロードスターの異母兄弟
「イタリア車」と書いたけれど、アバルト・124スパイダーは純粋なイタリア車ではなく、日伊ハーフの変わり種。日本が誇る軽量オープンスポーツ、マツダ・ロードスターをベースに、エンジン、足回り、ボディーをフィアット・クライスラーグループのカスタムメーカー、アバルトが載せ替えた兄弟車である。
ボディーについては次週の後編で詳しく触れるとして、エンジンから見ていこう。ロードスターが自然吸気の1.5リッターエンジンであるのに対し、124スパイダーは「マルチエア」と名付けられた1.4リッターのターボ付エンジン。排気量は小さくなっているが、ターボ過給によってロードスターを上回る馬力とトルクを実現している。
足回りも強化されており、タイヤは一回り大きい17インチ、大径ブレーキディスクにブレンボ製のキャリパー、ビルシュタイン製のダンパーと、よりスポーツ走行に適した装備で固められている。ちなみに試乗車のタイヤはハイグリップタイプのブリヂストン・ポテンザRE050Aが装着されており、乗るまでもなく、スペックを見るだけでアバルトのやる気が伝わってくる。
小排気量ながら加速は痛快
堺市のディーラーでクルマを借り出し、さっそくオープンにして夕刻の大通りを走り出す。段差や小さな凹凸を結構拾う感じはするものの、予想していたよりも乗り心地は悪くない。ソフトとは言えないが、普段使いできるぎりぎりの快適性は確保されている。