【試乗インプレ】“結婚”するならこれ? 「見た目じゃない、中身ですよ」なBMW・218d グランツアラー(後編)
更新パワフルでスムースなディーゼルエンジンにすっかり魅了された前編に続き、今回もBMWの2シリーズ・グランツアラーの、ミニバンとしての使い勝手を中心に内外装のインプレッションをお届けする。ガッキーの主演ドラマで契約結婚が話題になっているが、クルマの購入契約を結婚に喩えると、このクルマ、なかなか理想的な“お相手”に見えてくる。(文と写真:Web編集室 小島純一)
カッコイイかどうかと言われると…
後輪を駆動するために車軸に対してエンジンを縦に搭載することを前提とした長いボンネットが、長らくBMWのデザインの特徴だったわけだが、このクルマのシルエットはまったく真逆をいく。
短いボンネットに引き延ばされたキャビン。特に横から見た場合、前後のドアハンドルを貫く鋭いプレスラインがなければBMWとは気付かないほどに、同社の車種のなかでは異色のフォルムと言える。
同社初の前輪駆動(FF)レイアウトを存分に生かし居住性重視に大きく舵をとったことが、その形状からハッキリと読み取れる。
そのうえでBMWらしい走りの楽しさは(後輪駆動の車種ほどではないにしろ)継承されており、居住性と走りの両立がこのクルマ最大のセールスポイントであることが、実際に運転してみたあとでは非常によくわかる。同じFF用プラットフォームを使うコンパクトSUVのX1と共通の特徴と言える。
率直に言って、このグランツアラーと2列シート版の兄弟車であるアクティブツアラーのいずれも、単にカッコイイかどうかで評価すれば、お世辞にもカッコイイとは言い難い形だ。BMWの“顔”であるプロペラエンブレムとキドニーグリルがついていようとも、あまたあるミニバンたちとさほど代わり映えしないシルエットなのだから仕方ない。
ミニバンはカッコ悪くて当たり前?
そもそもミニバンとは典型的な箱形のクルマであって、クルマのカッコ良さからは最も遠いカテゴリーである。だからと言ってカッコ悪いままでは高額商品である乗用車として成立しないので、各社さまざまに工夫をこらし、なんとかカッコ良く(あるいは可愛らしく)見えるようデザインしているのが現状だろう。
ここからはあくまで個人的な意見だけれど、角や直線をうまく“味方”につけたほうが、ミニバンとしては潔いデザインに感じられるような気がする。