【試乗インプレ】燃費計測は意外な結果に 30万円値下げは安い?高い? VWゴルフ GTE(後編)
更新フォルクスワーゲン初のハイブリッド、ゴルフGTE。前回はその走りにフォーカス、ほぼ絶賛という結果になったが、肝心の燃費性能は、そしてベースモデルより200万円以上高い価格の妥当性はあるのだろうか。内外装・使い勝手のインプレッションとともに考察してみる。(文・写真 Web編集室 小島純一)
無難で退屈? いや意外とシャープなエバーグリーン
外観のシルエットはガソリン仕様のモデルと変わらない。低くて幅広でありながら、4メートルちょいと短い全長で、オーソドックスなハッチバックスタイルだ。直線基調でデザインされたボディーは、無駄を削ぎ落としたクリーンな印象。実用性を重視した水平基調の横顔は、後部窓でも開口部が大きく、後席の開放感につながっている。
冒険していない無難で退屈なデザインと受け止めることもできるが、歴代のゴルフ同様、長く乗っても飽きない古くなりにくい形をしていると思う。
それでいながらどことなく内に秘めたシャープさをも感じさせるのは、くっきりと浮かび上がったボンネットと前後ドアに施されたプレスラインが効いているのだろう。
GTE専用のディテールは、フロントグリルからヘッドランプの中にまで伸びるブルーのライン、フルLEDのヘッドランプ&ウインカー、バンパーに埋め込まれたC型LEDポジションランプ、そしてボディーの前後左右4カ所に誇らしく輝くGTEエンブレムと、先進的な中身を持つモデルとしては主張が最小限に留められている。大衆車=フォルクスワーゲンらしく、見た目よりも中身で勝負ということかもしれない。
精密感、凝縮感がじわじわ来るインテリア
外観から感じたクリーンな印象はキャビンのデザインにも共通している。ごく常識的なレイアウトで、初めて乗る人でも操作方法に迷うことが少ないだろう。
インフォテインメントシステムはタッチパネル式で、インパネ中段の配置。画面は最上段に配置してセンタークラスターのコントローラーで操作…というのが最近のトレンドだが、タッチパネルに手が届きやすくするためにはこの位置が最適、という判断と思われる。
スマートフォンやタブレットの普及でタッチ式インタフェースは一般化しているので、多くのユーザーが直感的に操作できるという利点がある。しかし走行中の揺れで適切なタッチが難しい場合もあるうえ、中段配置の画面はフロントウインドウからの視点移動も大きくなり、安全性にはやや難がある。
前席のレカロ風バケットシートは布張りで肉厚たっぷり。やや硬めの座り心地ながら、一旦体を沈めるとよくフィットして荷重を分散させるようで、長距離運転でも足腰に負担が少ない。2時間以上連続で運転しても体が楽だった。脇と腿のサポートも適切で、ワインディングでも安定した姿勢を保てる。