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ダンス・ダンス・アジア in マレーシア(上) 即興パフォーマンスに大声援
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「ダンス・ダンス・アジア」公演のフィナーレでは、出演者全員がステージに登場し、観客の大きな声援に応えた=2015年2月7日、マレーシア・首都クアラルンプールの「クアラルンプール・パフォーミングアーツセンター」(田中幸美撮影) 会場を埋め尽くしたおよそすべての観客が立ち上がり、ダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」の曲に合わせ、即興のダンスを始めた。みんな弾けるような笑顔で体を揺らせている。舞台上でリードを取るのは、日本を代表するストリートダンスカンパニー「WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキンクルーオーケストラ)」のメンバーらだ。
これは2月7日、マレーシアの首都、クアラルンプールで行われた日本のストリートダンス公演のフィナーレの様子だ。レッキンの他に、ユニクロのCMでカンヌ国際広告祭大賞など各種広告賞を総なめにした黄帝心仙人(こうていせんにん)率いるロボットダンスチーム「タイムマシーン」、男子新体操とダンスを融合させ新たなパフォーマンスを創造する「BLUE TOKYO」(ブルートーキョー)の2組が出演した。
公演は、アジアにおける国際交流を推進する「国際交流基金アジアセンター」(東京都新宿区)がストリートダンスをテーマにした文化交流プロジェクトとして実施。「ダンス・ダンス・アジア」と名付けられ、ストリートダンスの舞台作品のプロデュースを数多く手がける「パルコ」の協力で実現した。公的機関が支援に乗り出し、ストリートダンスを日本文化として紹介するのは初めての試みといえる。プロジェクトは東京五輪が行われる2020年まで続く。
第1弾は1~3月、マレーシアのほかフィリピンやベトナムなど東南アジア4カ国に10組のダンスカンパニーやダンサーを派遣。クアラルンプールでは計3回の公演だけでなく、それぞれのグループが2回ずつワークショップも開催した。
≪ストリートダンスは世界の「共通言語」≫
クアラルンプールでの公演に先立っては記者会見が行われ、3組の代表らが出席。
プロジェクトのプロデューサーを務めるパルコの中西幸子さんは、世界の舞台芸術の殿堂などでいまやストリートダンスはメーンのプログラムに据えられ、幅広いジャンルや年齢層の客を集めるほどの人気になっている現状を説明。日本でも舞台作品を作りたいという機運がダンサーたちにあり、ミュージカルや演劇に興味を持つ人たちに広めたいと舞台公演を手がけてきたと話した。さらに日本では世界のバトルイベントやコンテストなどで優勝するスキルの高いダンサーが、ダンスにとどまらず演劇性やサブカルチャー、アニメなどの要素を取り入れた独自の作品作りを行っていることも紹介。中西さんは「ストリートダンスは世界中の若者たちの“共通言語”といえる舞台芸術」とした。さらに来年以降は東南アジアのダンサーも巻き込んだ共同制作にも意欲を示し、「ぜひアジアから発信できる舞台芸術を一緒に制作したい」と意気込みを語った。
また昨年、今回と同じ会場で単独公演を行ったレッキンのリーダー、YOKOIさん(39)は「1年後という短い期間でここに帰ってきたことを大変うれしく思います。10年以上も前からストリートダンスの可能性を求めて舞台作品をやってきました。説明するよりも見て感じて楽しんでもらいたい」。
タイムマシーンの黄帝心仙人さんは、ストリートダンス界の人間国宝ともいえるレッキンのYOKOIさん、人間国宝の坂東玉三郎さんに認められたブルートーキョー、そしてゆくゆくは人間国宝になりたい自分の三者がそろったからには世界に広まる作品が見られるとユーモアを交えてコメント。「僕らのチームはタイムマシーンというからには、100年後の未来に残る作品を今、ここでやりますので楽しみにしてください」と話した。また、ブルートーキョーのリーダー、大舌恭平さん(26)も「僕らの持ち味であるアクロバットがふんだんに入ったパフォーマンス。日本人ならではの『同調性』に注目してほしい」と抱負を語った。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)