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ティム・バートンの音楽世界を再現 ダニー・エルフマン
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多数の作品で映画音楽を手掛けるダニー・エルフマンさん=2014年8月9日、東京都千代田区・東京国際フォーラム_ホールA(清水隆行さん撮影、提供写真) 映画監督ティム・バートンの映画音楽を、総勢130人のオーケストラとコーラスとで再現するというユニークな試み、『ティム・バートン&ダニー・エルフマン 映画音楽コンサート』が開催された。しかも、その音楽を作曲したダニー・エルフマンが来日し、魅力あふれる歌声も披露した。
ティム・バートンはジョニー・デップ主演の『シザーハンズ』から最近の『アリス・イン・ワンダーランド』まで、大ヒット作が多数ある人気監督。ダークな世界観にユーモアを交えた独自の作風や、元々アニメーターだったこともあって、登場人物のキャラクターの容姿や衣装にも他に類を見ない才能を発揮。オリジナリティーが高い作風で知られている。その作品の魅力を倍増させているのがエルフマンの作り出す音楽で、どこか怪しげでウイットにも富み、見る側の気持ちを常にワクワクさせてくれるのだ。
会場には映画に登場するような衣装をまとった女性もいて、その雰囲気に開演前から胸が高まるほど。スクリーンに映される映画のハイライトシーンに合わせて映画音楽が実際に演奏されると、その場面が浮き出て来るような感覚になっていく。さらにティム・バートンが制作時に描いたイメージボードやアイデアのスケッチも大きく映され、一緒に創造力を膨らませることができる。緻密で創造力に富んだスケッチも素晴らしく、とにかくぜいたくな趣向なのだ。バートン&エルフマンのコンビが大好きなファンにとっては、映画音楽が生演奏で再現される喜びに加え、その魅力を多角的に体感できる展開になっている。
第2部終盤の『シザーハンズ』では、バイオリニストのサンディ・キャメロンが映画を意識した華麗な衣装で登場し、軽快に踊りながら演奏。エルフマンは最後に現れ、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のジャック・スケリントンの歌を歌い、オインゴ・ボインゴというロックバンドのフロントマンとして歌っていた当時をほうふつさせるような歌唱力、また役者魂を感じさせるパフォーマンスで大喝采を浴びた。アンコールでは指揮者とエルフマンが映画を再現する寸劇まで披露。映画と音楽の魅力を満載し、誰もが心から笑顔に包まれた好企画コンサートだった。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/撮影:フォトグラファー 清水隆行/SANKEI EXPRESS)