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宇宙旅行の夢くれた少年捜す富豪 ドラマのような物語…世界が注視

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宇宙旅行の夢くれた少年捜す富豪 ドラマのような物語…世界が注視

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2012年7月、英南部ファンボローで開かれた航空ショーで、一般人向け宇宙旅行用の機体「スペースシップ2」のレプリカの前で記者発表を行うリチャード・ブランソン氏。手に持っているのは、小型衛星の打ち上げ事業に使う「ランチャーワン」の模型(AP)  世界初の一般人向け宇宙旅行を年内に敢行する予定の米宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックを率いる英富豪、リチャード・ブランソン氏(63)が26年前の1988年、宇宙を目指すきっかけを自分に与えてくれた少年の行方を捜している。

 宇宙旅行の参加費は1人25万ドル(約2500万円)だが、ブランソン氏は感謝の意味からVIP待遇での招待を考えているという。ツイッターでの情報提供の呼びかけも始まった。ドラマのような恩人捜しの物語を世界が注視している。

 英メディアによると、少年の名前はシハン・ムサファーさん。ブランソン氏は、英BBC放送の子供番組「ゴーイング・ライブ!」に生出演し、この少年と電話で会話した。

 VIP待遇で招待

 その際、少年が「宇宙を目指そうと思ったことはないんですか?」とブランソン氏に問いかけた。子供のたわいない質問だったが、ブランソン氏は真(しん)摯(し)にこう答えた。

 「もちろんあるさ。そして、この番組を見ている人々がみんな宇宙に行きたいと思うようになってほしいね。宇宙の壮大な景色や驚くべき眺めに勝るものはないよ。もしも君が宇宙船を造ったら、君と一緒にそれに乗りたいな」

 この会話が誰でも宇宙旅行ができるようにしたいと思うきっかけになり、2004年のヴァージン・ギャラクティック設立につながった。

 ブランソン氏は9日、自身の公式ブログで「あれから26年たち、われわれは世界初の商用宇宙旅行のサービスを構築した。今、あのときに宇宙旅行の商用化のアイデアを与えたくれたシハンさんに感謝の意を伝えたい」と説明。「彼をわが社の宇宙旅行のVIPゲストに招きたい。もしも彼を捜すミッションに手助けしてもらえるなら、ツイッターに情報を寄せてほしい」と呼びかけた。

 現在、30代半ばから後半とみられるシハンさんだが、早速、多くの情報が寄せられ、現在、同姓同名の人物2人がオーストラリアのシドニーに住んでいるところまで判明したという。

 チャレンジ精神の源泉

 幼い頃難読症に悩み、17歳でパブリックスクールを中退し雑誌を創刊。その後、趣味で始めた中古レコード店を世界的なレコード会社「ヴァージン・レコード」に育て上げ、時代の寵児(ちょうじ)となったブランソン氏。

 その後も1984年に航空会社を設立したほか、携帯電話、映画館、鉄道会社、宇宙旅行などさまざまな新規事業に挑戦。その一方、86年には動力船で大西洋を横断したり、98年には熱気球での世界1周に挑むなど、冒険家でも知られる。

 そのたぐいまれなチャレンジ精神の源泉は「一緒に宇宙船に乗りたいね」という26年前の約束を律義に果たそうとする子供の心を持ち続けるところにあるのかもしれない。

 宇宙旅行はヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅客機「スペースシップ2」に乗り込み、米ニューメキシコ州の世界初の商用宇宙港から飛行。高度11万メートルに到達後、無重力状態を6分間体験できる。既に700人が予約したという。

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